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ASTHMA PRIMARY CARE SYMPOSIUM 2011

 さる1月23日日曜、ホテルニューオータニのメイン大宴会場にて、製薬企業グラクソスミスクライン(GSK)社の主催によるASTHMA PRIMARY CARE SYMPOSIUM 2011が開催されました。呼吸器やアレルギーを専門とされる先生方を中心に、気管支喘息の診療に携わっておられる日本の第一線の臨床医約500名が参加した大規模イベントで、喘息の基礎治療である吸入ステロイドあるいは中等症以上の標準薬である吸入ステロイドと長時間作用型β2刺激薬(気管支拡張薬)の“配合剤”のさらなる普及と、それによる喘息コントロールの向上をめざしたものです。このイベントは前半の講演のパートと、後半のパネルディスカッションによって構成されました。
 センター長はパネルディスカッションのコメンテーターとして、昨年4月に埼玉医科大学第3講堂で講演していただいた(2010年4月16日コラム欄参照)、おなじみのスピードスケート長野五輪金メダリスト清水宏保さん、またスポーツジャーナリストの二宮清純さん、そしてNPO法人アレルギーの会理事長の北島芳枝氏と、「喘息患者が意思に求めること」のテーマで対談をおこないました(写真、グラクソスミスクライン社提供)。この4人はおのおのの分野でそれなりの成功をおさめているわけですが(筆者はたいしたことないですが)、「共通事項」があるのですがそれは何でしょうか?
 そう、この檀上の4名はいずれも喘息患者なのです。清水氏はこの会でも、喘息から逃げずに受け入れて、これに直面することで、感覚的に鋭敏になり、それが成功につながることを指摘されました。喘息は「ひとつの体質、ひとつの個性」と考え、うまく付き合うことの重要性を示唆した点で“至言”ではないかとおもいます。それへのツッコミで、センター長も自身が子供時代は寝たきりに近いことが多く、東京五輪もメキシコ五輪も病床でぜんぶみたこと、それで喘息にウラミをもって燃えて勉強し研究し仕事をしてきたらいつのまにか教授になっていた、などと体験を吐露して笑いをもらいました(笑ってもらう場面ではなかったのですが~)。"一病息災“とはよくいったもので、我々の身体はそもそも不完全ですので、得てしまった病気とはうまく対応することとおもいますし、治療が進んでいる気管支喘息の場合、正しくコントロールすれば金メダリストの高みにすら達し得る、ということを、広く喘息患者さんには理解してほしいものと願います。このイベントは喘息診療に携わる医師たちが対象ではありましたが、診療や患者指導の場を通じて、そういったことが患者さんたちに伝わっていってほしいものと願います。
 なお清水さんは最近、アスリートの水分補給やサプリメントのための会社を興されており(http://www.27complete.jp/zensoku/)そこを通じても喘息患者さんを応援する活動を始められています。同社が患者支援イベントなどを始めた場合には筆者もボランティアで講演等お手伝いにいかなくては、とおもった次第です。 (文責 永田真)

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