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2025年10月24日~26日 第74回日本アレルギー学会学術大会が開催されました

第74回日本アレルギー学会学術大会が、東京国際フォーラムで開催されました。今回は日本医科大学耳鼻咽喉科(大学院医学研究科頭頸部・感覚器科学分野)の後藤穣先生が会長でした。後藤先生は、耳鼻科医ですが、「アレルゲン免疫療法」が専門で、我々とも非常に関係が深い先生です。「アレルゲン免疫療法の手引き2025」の発行においては、永田先生と後藤先生が委員長、私が委員を務めました。日本アレルギー学会における「アレルゲン・免疫療法委員会」では、後藤先生が委員長、私が副委員長を務めています。そのような関係性があり、今回の学会は大変楽しみにしておりました。


後藤先生による会長講演

初日は、堀内先生がミニシンポジウムで「急性好酸球性肺炎の気管支肺胞洗浄液におけるアンフィレギュリン濃度の解析」について発表されました。アンフィレギュリンは線維化の形成で重要なタンパク質で、間質性肺炎を研究している先生から興味を示していただきました。原先生はミニシンポジウムで「生物学的製剤の喘息関連QOLへの影響およびQOLと臨床的寛解との関係―実臨床における検討―」について発表されました。片山先生は「ニコチンの好酸球機能におよぼす影響の検討」、内田義先生は「スギアレルゲン免疫療法による特異的IgG4抗体変動の臨床的効果への寄与」、当科OBで現在山梨医大の星野先生は「気管支喘息における喀痰中IL-36 subfamilyアゴニストおよびアンタゴニストの関連性」についてポスター発表されました。皆さんしっかりプレゼンされ、質問にも適切に答えてくれていました。免疫学・微生物学 戸叶先生はJSA WAO 2020記念 研究助成プログラム 研究報告ミニシンポジウムで「アレルゲン免疫療法におけるIL-17応答抑制効果の検討」、筆者はシンポジウムで「アレルギー疾患の病態形成におけるIL-4/IL-13の役割」について発表しました。


ミニシンポジウムで発表する堀内先生と原先生

二日目は、杣先生が、シンポジウムで「IL-36サブファミリーのアレルギー疾患への関与」、ミニシンポジウムで「スギアレルゲン免疫療法によるスギ,ダニ特異的IgG4抗体変動に関する検討」について発表されました。内藤先生が「アレルギー性鼻炎および喘息患者のクリ花粉感作に関する実態調査」、家村先生が「テネイシン-Cは好酸球機能を直接活性化させる」についてポスター発表されました。小児科 板澤先生は、第9回働き方改革推進奨励賞受賞記念講演として、「大学病院における働き方改革:多職種連携によるタスク・シフト/シェア」について講演されていました。また、小児科 盛田先生は、「小児のスギ花粉症診療における鼻汁中スギ特異的IgE抗体測定の意義」についてポスター発表されました。

今回の学会では永田先生と私が留学していたWisconsin大学のNizar N Jarjour先生とJames E Gern先生を招聘することができました。我々が座長を担当し、招請講演として、Jarjour先生には「Severe asthma mechanisms」、Gern先生には「The origins of childhood asthma」について講演いただきました。二日目の昼間にWisconsin大学groupで、夜にGern研究室groupで、会食しました。Gern先生は、私の留学のときに大変お世話になった先生で、このような機会をつくることができてよかったと思います。



招請講演を行うJarjour先生(座長永田先生)とGern先生


Wisconsin大学groupでの会食とGern研究室groupでの会食

最終日は、永田先生が教育講演で「アレルギー科医が知っておくべき分子標的治療薬の基礎知識2025」、筆者がシンポジウムで「アレルゲン非特異的な効果の可能性」、原先生が「重症喘息の臨床的・完全寛解を見据えた患者教育」について講演しました。

今回我々は、学会プログラムとして「アレルギー疾患の病態形成における各サイトカインの役割Up-to-date~多様なアレルギー病態での関与の可能性について~」「アレルギー疾患における新規治療標的の病態形成における役割と包括的治療の可能性」のシンポジウムを提案させていただきましたが、診療科横断的な内容で、かつ共催セミナーでは聞くことができない、total allergistを目指すうえで重要な内容であり、とても興味深いものになったと思います。


教育講演を行う永田先生

今回の学会でも、6年生と5年生の学生さんが、勉強の気分転換にと、参加してくれました。写真は休憩しているときに撮影したものですが、それ以外の時間は、講演を貪欲に聞いてくれていて、大変すばらしいです。彼らのやる気をさらに育てられるようにしたいと思いました。


参加してくれた6年生と5年生

(文責:呼吸器内科 中込一之)

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