2018年に日本アレルギー学会の各地方支部が新設された際に筆者が初代の関東支部長を拝命した関係で、当センターはその関東支部をお預かりしてまいりました。その主事業であるアレルギー学会関東地方会の第12回学会が、2024年12月14日(土)、秋葉原コンベンションホールをメイン会場として開催されました。学会長は本学アレルギーフォーラムにもご講演しに来ていただいたこともある国際医療福祉大学大学院医学研究科耳鼻咽喉科学教授の岡野光博先生でした。
学会開始前のひととき。筆者および岡野光博会長。
開会のあいさつをされる岡野光博会長。
本学会はWEB参加と組み合わせたハイブリッド開催で行われました。当センターからは今回、筆者(教育講演の座長)、杣知行教授(同座長)、中込一之教授(教育セミナー講演)、そして今春呼吸器内科に入局されたばかりのルーキー趙健助助教と、その発表指導医として内田貴裕講師、また皮膚科から宮野恭平講師の、計6名が参加いたしました。
一般演題の発表をされる趙健助助教
プログラムは会長企画、教育講演、シンポジウムのほか、アレルギー診療の各領域にまたがる教育セミナーが用意され、非常に充実した内容でありました。一般演題も26を数えました。その多くはアレルギー疾患の分子生物学的製剤治療に関わるものであり、またアレルギー疾患の唯一の根本療法であるアレルゲン免疫療法にかかわるもの、そして難治性あるいは希少なアレルギー疾患にかかわる貴重な症例報告でした。趙助教は当センターの症例「犬飼育と狩猟の開始後に発症したα-Gal症候群の一例」について発表されました。牛肉アレルギーのほとんどが、野山に住むマダニの咬傷を受けて感作される、マダニのアレルゲンである“α-Gal”による発症であることが知られています。本邦では野原等を転げまわる飼い犬の身体に附着したマダニが、飼い主に咬傷を起こす機序が多いとされています。しかし北米などでは野山での滞在時に患者本人が直接的にマダニ咬傷を受ける例が知られます。このケースでは犬飼育もしながら、しかし同時に当県西部地区の秩父山地で狩猟を行うご趣味があり、犬のこまめなブラッシングと、また本人の狩猟時での皮膚保護のいずれもが重要な症例と考えられ、牛肉アレルギーの管理上示唆に富むご発表であったとおもいます。
学会を終えて趙助教と呼吸器内科の各スタッフ
年末の多忙な時期であるにもかかわらず、WEB参加をふくめ大勢の方が参加され、時宜を考慮すれば大変な盛会といってよい活況を呈しておりました。成功裏に終えられましたことを、岡野会長には心からの祝福を申し上げますとともに、ご参加の先生がた、また後援企業さまに感謝を申し上げます。なお第13回の本学会は2025年6月28日土曜日に、慶應義塾大学呼吸器内科教授・福永興壱先生を会長といたしまして、今回と同様の秋葉原コンベンションとWEBでのハイブリッド様式にて開催の予定であります。広くアレルギーの臨床にご関心をおもちの先生がた、看護師さんなどのメディカル・スタッフ、そして医学生などのご参加・ご聴講をお待ちいたしております。
(文責 永田真)