アレルギーセンターでは学内のアレルギー疾患についての知識と意識の向上を目指し、2カ月に一度のぺースで学内にて講演会「アレルギーフォーラム」を開催しています。その第23回目が4月15日に開催され、五輪金メダリストの清水宏保さんが特別講師でおいでくださいました。清水さんは幼少のころから重い喘息に苦しんでこられましたが、喘息と向き合い、喘息をコントロールしながらトップアスリートとして活躍されてきました。長野五輪500mで金、1000mで銅、ソルトレイクシテイ五輪でも500mで銀、と、冬季五輪史上に残る大活躍をされたことは皆様ご存じのとおりです。実は引退されたら一度本学においでください、と以前に“ダメモト”でお願いしてはいたのですが、まさか本当に埼玉医科大学にきてくださるとは。。。スケート関係でマスメディアにでられるのは当然として、また喘息とアスリートの関係のことで日本アレルギー学会などの巨大学会でスピーチされることはあったのですが、一大学でご講演くださるのは初めての由で、大変に光栄なことでした。
ご講演に先立ち、本学の喘息・アレルギー診療部門をご見学いただく目的と、現在の清水さんの喘息の状態が十分かどうかをチェックさせていただくため、大学病院「アレルギー・喘息センター」にお立ちよりいただきました。喘息の基礎病態、気道炎症評価法の新兵器である、呼気NO測定の結果は見事に“合格”でした(写真)。
ご講演は本学のメイン講堂で行われ、本学の医療関係者200名以上の参加のもと、「喘息をのりこえての金メダル」のタイトルでお話をいただきました。つらかった少年時代、喘息で日本代表をミスした苦難の時代、しかしそれを乗り越えての五輪キップ、そして金メダル獲得、世界記録樹立、と大変に感動的なお話をきかせていただくことができました。清水さんは「喘息から逃げず、喘息と向き合い、喘息を味方につけて、武器にすることでここまできた」という意味のことをおっしゃいました。私ごとで大変恐縮ですが筆者も幼少時から現在にいたるまで重症喘息で苦しみ、自己管理、診療、研究、講演活動等々、喘息と真剣勝負することでどうにか現在にたどりついており、清水さんのおことばは至言とおもわれました。清水さんの本当に貴重なお話をきかせていただき、日本の医科大学では希少なアレルギーセンター組織をもつ埼玉医科大学は、ますます喘息・アレルギーの克服に邁進して行かねば、と思いを新たにさせていただいた次第です。清水さんとご一家の(奥さまの話になると“満面の笑み”でした!!!)、今後の益々のご発展を祈念申し上げ、この場をお借りして御礼申し上げる次第です。
なお今回のイベントの実現には清水さんと業務契約のある製薬会社グラクソスミスクラインがご支援くださいました。同社にも感謝を申し上げる次第でございます。
(文責:永田真)