2023年12月21日、埼玉県アレルギー疾患対策事業である母子保健担当者研修会を埼玉教育会館で開催いたしました。この研修会は2018年より埼玉県アレルギー疾患医療拠点病院である埼玉医科大学病院が、埼玉県内の行政機関や保健センターなどで母子保健に関わる保健師、管理栄養士の方などを対象に行わせていいただいております。
前半は、埼玉医科大学医学部小児科准教授の板澤寿子先生より「食物アレルギーの発症予防と管理」についてお話していただきました(写真①)。疫学ではアナフィラキシーや食物アレルギー、アレルギー性結膜炎・アレルギー性鼻炎の児が増加してきていると説明があり、アレルギーがより身近な疾患であると感じていただけたのではないでしょうか。そして発症予防の観点からアレルギーマーチの入口であるアトピー性皮膚炎に対し早期介入することで、食物アレルギーの発症リスクが抑えられるとのお話しや、食物アレルギーの正しい診断や適切な食事指導について、集団生活をしている子どもたちが安心して過ごせるように、迅速なアレルギー対応をできるようにしておくが必要であるとお話がありました。また、生活管理指導票の活用方法など具体的なお話も聞くことができ、実際に現場で活用できる内容となっていました。また、アナフィラキシー対応に関する動画では、症状が進んでいく様子を見ながら、どのようなタイミングでアドレナリン自己注射(エピペン®)を使用するか振り返る時間になりました。
写真① 埼玉医科大学病院 小児科医師 板澤寿子 講師
後半は、埼玉医科大学病院、埼玉医科大学総合医療センター所属の小児アレルギーエデュケーター(PAE:pediatric allergy educator)資格をもつ管理栄養士、看護師よりお話しと実技を行いました。管理栄養士より「食物アレルギー児の食事管理」として、食物アレルギーを持つ子どもたちの安全、そして、栄養面も考慮した給食提供の考え方や成分表示の見方を具体的に間違えやすいものなどを示しながらご説明いただきました(写真②)。
写真② 埼玉医科大学病院管理栄養士 関澤 藍 講師
また、看護師より「食物アレルギーのアナフィラキシーの対応~エピペン®のタイミングと打ち方のコツ~」についてお話しさせていただき(写真③)、看護師、管理栄養士によるエピペン®の打ち方の実演では(写真④)、声を掛け合いながら行なうこと、具体的な固定方法、注意点などを説明させていただきました。
写真③ 埼玉医科大学病院看護師 大塚 砂織 講師
写真④ エピペン®の打ち方の実演の様子
今回も多くの方にご参加いただき、またご質問いただき、誠にありがとうございました。今後も母子保健の担当者の方々へ正しい情報を届けることで、子どもたちや保護者の皆様のお役に立つことができればと思っております。
(文責:埼玉医科大学病院看護師・PAE 山﨑美穂)