埼玉医大アレルギーセンターは、正しいアレルギー診療の推進のための情報発信を活動の一部として推進いたしております。今回、老舗医学出版社の南江堂さんより、プライマリケア医や医療関係者向け名門誌の「内科」の2023年12月号として、筆者（センター長永田）の企画で「プライマリケアに必携！アレルギー診療の基本ガイド」を発売させていただきました。

アレルギー疾患は、いわゆるアトピー体質が基盤にあるゆえに、しばしば生涯のものとなりがちですし、単一の病因アレルゲンが複数のアレルギー疾患を発症することも大きな問題です。近年内科領域では特に成人食物アレルギーの増加が大変に大きな問題となってもいます。アレルギー診療の基本とは薬物をてんこ盛りにすることでも検査漬けにすることでもなく。。。病因アレルゲンの適切な検索と回避指導、必要最小限の適切な薬物療法、そして可能であれば長期予後の改善をめざしたアレルゲン免疫療法を積極的に活用することです。アレルゲン免疫療法は諸外国と比較し、日本での普及は著しく遅れましたが、日本のアレルギー疾患での重要な環境アレルゲンである家塵ダニとスギ花粉については、注射薬ならびに舌下療法薬が開発され、筆者が代表作成者となって日本アレルギー学会からこれらの手引書が発刊されています。

本特集では病因アレルゲンの同定と回避指導やアレルゲン免疫療法を含め、アレルギー診療に必要な必須の各種治療法、成人の食物アレルギーや、各臓器別の主要アレルギー疾患の最新知識、そして重症例に用いられる分子標的理療などをふくめ、日本のこの分野のトップランナーたちに御執筆をお願いして、プライマリケア医が知っておくべき重要知識をまとめさせていただきました。広く特に成人領域のアレルギー診療に携われる先生方や医療関係者のみなさまにご活用いただき、患者さんのためにぜひお役立ていただきたいと願うものです。

（文責　永田　真）