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2023年9月9日~13日 欧州呼吸器学会(ERS: European Respiratory Society)が開催されました。

コラム執筆が遅れましたが、99日から913日の5日間、イタリア(ミラノ)にて欧州呼吸器学会(ERS: European Respiratory Society)が開催されました。国際学会は新型コロナウイルス感染症の流行以来、久々の現地参加となりました。
ミラノは人口140万人の都市でローマに続くイタリアで2番目に大きな都市で、羽田からロンドンのヒースロー空港を経由して到着しました。
我々は2日目から参加しましたが、会場は参加者であふれており、様々な国籍の方たちが現地へ足を運び精力的に学会参加をされておりました。


学会会場の様子

当院からはポスター3題を提出し無事発表を終えました。宇野先生は重症喘息における生物学的製剤導入後の喀痰の細胞分画の変化に関する発表、星野先生は重症喘息における喀痰及び血清IL-36濃度に関する発表、中込先生はマウス好中球性気道炎症に対する抗IgE抗体の効果に関する発表を行いました。発表はチェアマンが順に回ってきて3分程度で行いました。日本の学会のようにオーディエンスが集まってポスターを聞くというよりはチェアマンと11で対話型での発表形式でした。発表時間以外にも参加者からポスターに関する質問が飛び交い、活発な討論が行われました。 ポスター発表の様子。上は宇野先生

また企業出展も日本の学会とはスケールが大きく圧巻されました。エアロチャンバーのブースでは偶然日本語の話せるスタッフが声をかけてくださり、携帯性に優れた吸入補助具(スペーサー)の話を聞くことができました。またどのブースでもエスプレッソの提供があり、これがミラノの学会かと感心させられました。エスプレッソに関しては、街では水より安く、自動販売機でも1ユーロくらいで売っています。


企業出展の様子

口頭発表では肺MAC症の治療はマクロライド耐性や死亡率で検討し3剤レジメンと比較し2剤レジメンが適切であるとのこと、喘息、慢性閉塞性肺疾患、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症など除外した好酸球性気管支拡張症患者で吸入ステロイドは増悪を30%減らし、入院を50%減らすとの発表があり様々な分野で興味深い話を聴くことができました。

重症喘息の研究では、ヨーロッパを中心としたでコホート研究であるU-BIOPRED (Unbiased Biomarkers for the Prediction of Respiratory Disease Outcomes)のここ数年の進捗について聞くことができました。U-BIOPRED研究では、重症喘息における病態について多数の興味ある知見が発表されていますが、特にIL-6 trans-signaling high喘息の特徴や、マスト細胞が刺激により好酸球炎症型の形質や好中球炎症型の形質を示すことに興味を持ちました。夜には、名古屋市大の新実教授のお招きで、Chris Brightling先生、Fan Chung先生の講演を聞くことができて、さらに理解を深めることができました。


講演会にて(左から名古屋市大福光先生、杣先生、新実先生、Fan Chung先生、中込先生、宇野先生、星野先生)

少しではありますがミラノの観光もでき、ピザや本場のミラノドリアを食べたり、大聖堂 (ドゥオーモ)の見学や最後の晩餐の壁画を観覧しました。またスリが多いとの話でビクビクしていましたが無事トラブルもなく、課外実習も充実させていただきました。


本物のミラノドリアとドゥオーモ

最近の学会は、新型コロナウイルス感染症の流行により発表の様子をネットで配信することが増え、会場まで行かなくても発表を視聴できるようになりました。しかし、現地でしか経験できないことがあり、例えば自分の発表で聴衆がどのような反応を見せるか、学会参加者がどの演題に興味があるかなどが挙げられると思います。今回の学会では世界のトレンドを肌で感じることができ、また学会に参加する意義を考えさせられました。また様々なトピックに触れることができ、大変勉強になりました。

今回の発表にあたりご指導いただいた永田教授をはじめ,医局員の皆様に感謝いたします。

(文責 呼吸器内科 宇野達彦、中込一之)

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