2023年8月20日、埼玉医科大学病院の一角で、普段の病院とは異なる光景が広がっていました。帽子をかぶり、大きなリュックを背負った子どもたちと、笑顔で浮足立つスタッフたちが集まりました。それはなんと、4年ぶりに開催されたアレルギーサマースクールの幕開けでした。午前10時、埼玉県立長瀞げんきプラザでの2泊3日のアレルギーサマースクールがスタートしました。
埼玉医科大学小児科のアレルギーサマースクールは1978年に「ぜんそくサマースクール」として始まりました。その後、気管支喘息のコントロールがよくなり年々参加者が減少したため、2013年からは「アレルギーサマースクール」と名称を変更して、食物アレルギーやアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患を抱える子どもたちが参加できるようになりました。2018年には日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会(現:日本小児臨床アレルギー学会)認定の小児アレルギーエデュケーター(PAE)が初めて参加しました。PAEとはアレルギー疾患をもつ子どもと家族への疾患の説明、治療目標の設定、治療技術の指導ができる看護師・薬剤師・管理栄養士のことです。サマースクールの間は、PAEを中心に多職種協働でスキンケア指導、吸入内服指導、栄養指導、子どもたち向けの勉強会(写真1)などを行っております。運営は埼玉医科大学小児科スタッフが行っていますが、参加中の活動に関しては埼玉医科大学医学部・看護学部の学生が中心となり、運動会やキャンプファイヤー(写真2)などのレクレーションを企画し、子どもたちを楽しませてくれます。参加者全員が同じ食事メニューを食べることができるアレルギー特定原材料等28品目不使用のカレールーを使った飯盒炊飯、入浴後にスタッフ総出で行うアトピー性皮膚炎の子へのウェットラップ療法など、サマースクールだからこそできることがたくさんあります。そして、子どもたちは自身の疾患について見つめなおし、治療意欲回復やアドヒアランス向上、協調性や他人への思いやりも学びます。
埼玉医科大学小児科のアレルギーサマースクールは全国的にも長い歴史を持つ、いわゆる「老舗」と言える存在です。今年もその長い歴史の一部を皆さんと共有できたことは、この上ない喜びです。これからも皆さんと共に歴史の1ページを刻んでいきたいと考えています。
長年にわたりアレルギーサマースクールの活動に対して、ご配慮・御支援いただいております埼玉医科大学関係部署の皆様、同門の先生方、アレルギーグループOB・OGの先生方、小児科の皆様にこの場を借りて御礼申し上げます。今後ともよろしくお願いいたします。
(文責:古賀 健史)
【アレルギーサマースクール】
対象:アレルギー疾患を持つ小・中学生
期間:2泊3日時期:毎年8月上旬または下旬(宿泊施設の予約状況で変わります)
場所:埼玉県内または関東近郊
事務局:埼玉医科大学病院小児科内
写真1)PAEによる勉強会
写真2)キャンプファイヤー