お知らせとコラム

埼玉医科大学病院アレルギーセンター > お知らせとコラム > コラム > 母子保健担当者研修会を開催しました。

母子保健担当者研修会を開催しました。

11月21日、埼玉県アレルギー疾患対策事業である母子保健担当者研修会を埼玉教育会館で開催しました。この研修会は、2018年より埼玉県アレルギー疾患医療拠点病院である埼玉医科大学病院が、埼玉県内の行政機関や保健センターなどで母子保健に関わる保健師、管理栄養士などの方々を対象に行わせていただいております。COVID-19の流行により一時中止しておりましたが、このたび3年ぶりの開催となりました。
前半は、埼玉医科大学医学部小児科准教授の板澤寿子先生より「子どものアレルギー疾患の発症予防」についてご講演いただきました。アレルギー疾患とはなにかという基礎知識から始まり、疫学では、小学生・中学生ともに3人に1人が喘息・アレルギー性鼻結膜炎・アトピー性皮膚炎のいずれかの疾患をもち、5~10%の子どもが複数のアレルギー疾患を持っているという、まさに子どもにとって身近な疾患であることを学びました。その後、アレルギー疾患の発症予防に着目し、妊娠中の母親の食事の注意点、離乳食の開始時期、ペット飼育やダニなどの環境との関係性など、子育て中の方に密接した内容を丁寧にお話いただき、どれも日常の指導にすぐに活用できるものでした。その中で特に、乳児期のアトピー性皮膚炎や湿疹が食物アレルギーの発症リスクになること、正常な皮膚を保つことがアレルギーマーチ(年齢により種々のアレルギー疾患を発症すること)の予防になる可能性があることが今回の重要なポイントでした。
また、災害対応についてもお話頂き、災害時に薬の不足や環境の悪化、ストレスなどアレルギー疾患をもつ方がどのような問題に直面するのか、日頃から備えておくと良いものなど具体的な対策方法をご指導いただきました。昨今、異常気象による自然災害が増加しており、事前に考え、備えておくことが重要だと学びました。実際に災害や被災者支援を体験された方の質問やご意見もいただき、有意義な時間となりました。
後半は、埼玉医科大学病院、埼玉医科大学総合医療センター所属の小児アレルギーエデュケーター(PAE: pediatric allergy educator)資格をもつ看護師、管理栄養士から「あわあわ洗浄と保湿でつるつるキープ~湿疹へのアプローチ~」というテーマでスキンケアの講義と実技を行いました。NICU、GCUに勤務する山﨑美穂看護師より、沐浴の方法を中心に、洗い忘れがちな耳の後ろや、洗いにくい脇の下や足の付け根などの洗い方、汚れを落としやすいきめの細かい泡を作る石鹸の泡立て方などを具体的にご指導いただきました。また、クリームの塗り方、適切な塗布量を動画を交えてわかりやすくお話いただきました。実技ではグループに分かれ、石鹸の泡立て、人形を用いた沐浴、クリームの塗布を行いました。以前は参加者一人一人に実践していただきましたが、今回は感染対策を踏まえスタッフが中心となって行いました。実践が困難な状況でも、実技を間近で見ること、少人数に分かれて行うことで活発な質問の場になりました。
COVID-19の流行により、人と人との関わりが希薄になっている現状がありますが、今回の研修を通し、情報を共有し、意見を交わし合うことの大切さを感じることができました。このような研修会を通じて、母子保健の担当者の方々に正しい情報を届けることで、子どもたちや保護者の皆様のお役に立つことができればと思っております。


埼玉医科大学病院小児科 板澤寿子先生による講義


埼玉医科大学病院 山﨑美穂看護師/PAE によるスキンケアの講義


スキンケアの実技
左)埼玉医科大学総合医療センター 佐藤栄美子看護師/PAE
右)埼玉医科大学病院 大塚砂織看護師/PAE

文責:関澤 藍(埼玉医科大学病院 管理栄養士/PAE)

トップへ戻る