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第7回日本アレルギー学会関東地方会が開催されました

日本アレルギー学会の関東支部は2019年に開設され、筆者(永田)が初代の関東支部長を拝命し、当センターが関東の学会(関東地方会)の運営を担当してきております。今回、第7回の同学会が、3月12日土曜に秋葉原コンベンションホールにおいて、集会型とWEBとのハイブリッド形式にて開催されました。筆者は関東支部長として、アレルギーの診療・研究・教育に関わるすべての基盤科の先生に学会長としてご活躍いただきたく、これまでの学会会長は初回こそ内科でしたが(筆者が担当)、以降は小児科→皮膚科→耳鼻科→眼科→基礎免疫学、と全科にお願いをしてまいりました。ひととおりまわりましたので、以降は学会員数比率に立脚して会長を選出させていただくこととし、今回の会長は筑波大学呼吸器内科教授の檜澤伸之先生にお願いいたしました。同先生は筆者とは学生時代、各々アイスホッケー部員として医科大学大会で戦ってきた戦友でもありました

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学生時代から交流がある檜澤会長(右)と筆者(左)

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開会の挨拶をされる筑波大学教授・檜澤伸之会長

 本学会は、広く関東地区で活動される医療関係者の、アレルギーに関する知識の向上、また専門的アレルギー診療の均てん化の一助となればありがたいと考え、運営させていただいております。
当日は一般演題のほかに会長特別企画、教育講演、教育セミナー、ランチョンセミナーなど多様なプログラムが展開され、コロナ禍にあっても大変な活況を呈していました。多数のWEB参加があり、結果、盛会となりました。当センターからは呼吸器内科の中込一之准教授が教育セミナー「重症喘息のType 2炎症」で、また呼吸器内科/予防医学センター兼担の杣知行教授は「Type2 炎症マーカーによる重症喘息の病態理解と治療」のテーマで講演をされ、また一般演題の座長を皮膚科の宮野恭平講師が担当されました。

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教育セミナーの講演を担当する中込一之准教授(左)。

 一般演題では当センター小児科の盛田英司講師が「局所麻酔薬チャレンジテストにて安全な薬剤を同定しえたリドカインアレルギーの 1 例」を発表されました。埼玉医大アレルギーセンターは我が国で最初に局所麻酔薬リドカインのアレルギーテストの論文をまとめた施設であってパイオニアですが、特に小児科領域の発表は貴重であったとおもいます。
また埼玉医科大学病院のルーキーイヤーの研修医小林由布子先生が「遅発相の反応が顕著であった局所麻酔薬アレルギーの 1 例」について症例報告の発表をされました。局所麻酔薬のアレルギーはいわゆる即時型反応を呈するケースが多いなか、きわめて珍しい症例とおもわれ、入院時の受け持ちでいらした小林先生にご発表をお願いしました。晴れの学会デビューです!とても落ち着いていました。

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一般演題を発表する本学研修医・小林由布子先生。

 筆者は本学会のトリである会長企画、檜澤教授の「喘息の起源を探索する」のご講演の司会を担当させていただきました。「喘息」には多様性があり、「貧血」や「発熱」と同じように、複合的な症状に対する記述的なラベルとして使用され、治療を開始するためには個々の患者の病態や原因を考えることが当たり前になってくるということ、それが個々の患者さんの特定の原因や病態を踏まえた最適な治療戦略につながるという、大変に素晴らしい内容でありました。司会を担当した筆者は冒頭で、檜澤会長とは40年来の戦友であることを述べました。学生時代はアイスホッケーで戦い、そして今は“武器”はちがいますが(かれは分子遺伝学、筆者は好酸球などの細胞生物学)ともに喘息の病態を解明しようとして戦う戦友です。戦友として、檜澤会長が日本のアレルギーの遺伝子のトップ研究者として大活躍される姿を、司会席からとても誇りに思いました。

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会長企画のご講演をされる檜澤会長(司会席から「盗撮?」~)

 さてこの関東地方会では、若手の医師・研究者の研究マインドを涵養し、奨励したいという思いから、初代関東支部長の自分の発案にて、一般演題の中から優秀賞を選出して表彰することとしています。今回はなんと!当センターから発表されたおふたりがともに受賞されるという、大変に名誉なこととなりました。

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優秀賞を受賞される小児科・盛田先生

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同じく優秀賞を受賞される呼吸器内科の演題を発表された研修医・小林先生

 本学会はコロナ禍特にオミクロン株大流行下でどうなることかと危惧もされましたが、結果的には、現地参加が約60名、そして実に約200名のWEB参加があり、大盛会となりました。無事に盛大に、大変な成功裏に終わりましたことを、学会長をお努めくださった檜澤教授と筑波大学の関係者各位、そして活発にご参加くださった関東地区会員のみなさまにも祝意と感謝を申し上げする次第であります。

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現地参加したスタッフと、おふたりの受賞の記念撮影~(^^♪

 我が国のアレルギー診療は米国などと比べ遅れた面が否めませんが、この地方会が関東全体のアレルギー診療の向上に役立ち、ひいては総合アレルギー専門医(トータル・アラージスト)育成の一環となっていってくれればと願います。
なお第8回の日本アレルギー学会関東地方会は、2022月12月10日(土曜)に、小児食物アレルギーの第一人者である、昭和大学小児科の今井孝成教授を学会長として同じ会場にて開催予定です。アレルギー領域に関与される方はもちろん、ご関心のある医療関係者みなさまにご参加いただけますなら幸いです。(文責 永田 真)

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