お知らせとコラム

埼玉医科大学病院アレルギーセンター > お知らせとコラム > コラム > 当センターが担当する第70回日本アレルギー学会学術大会のご案内です

当センターが担当する第70回日本アレルギー学会学術大会のご案内です

本年の日本アレルギー学会学術大会は筆者(永田)が大会会長を務めさせていただき、当センターが担当して開催させていただきます。本学術大会は記念すべきことに第70回目の節目の大会となり、会長を担当させていただくことには天と皆さまとに深く感謝を致しております。会員数12000名を超え、学会英文雑誌のインパクト・ファクターも5点に迫る極めてアカデミックなメガ学会であり、その節目の学術大会ですので、当センターとして全力で運営にあたりたいと存じます。本年10月8日(金曜)-10日(日曜)にパシフィコ横浜ノースにおいて開催しますが、コロナ禍のためWEB参加も可能なハイブリッド形式の予定です。
アレルギー疾患は増加の一途を辿り、重症喘息や各種原因によるアナフィラキシーのように、患者さんのQOLや生命に重篤な危険をもたらすものも含まれます。臨床現場での重要性はますます高まっています。体質的要素が基盤に存在するため若年期から発症しやすく、治癒し難く、そして生涯にわたって患者さんを苦しめることが多いのです。例えば小児喘息がいったん寛解しても成人期で再発して、生涯のものとなることは日常的にみられます。当初ダニアレルゲンのみに感作された喘息患者さんが、やがて真菌類、食物類、花粉類など、感作が拡大して難治化することも常です。もうひとつの重要な特徴は、単一病因アレルゲンが複数の疾患を発症することです。例えば室内塵中のダニは喘息、鼻炎や結膜炎、アトピー性皮膚炎で重要な増悪因子となり、さらにパンケーキ粉などに混入すると食物アレルギーも誘発します。アレルギー疾患診療の重要なポイントとして、患者さんの生涯にわたる長期予後を考慮した管理の必要性があり、また全身的・包括的に管理・治療を行う視点が重要なのです。一臓器をみるのでなく、“患者中心的に!”包括的な管理治療が望まれるわけです。米国などでも半世紀以上前から「アレルギー科」が重要な役割を果たしてきており、埼玉医科大学は2005年に当センターを開設して、日本でいち早くこの領域に取り組んできました。日本アレルギー学会でも、かつて筆者が専門医制度WGをおあずかりしして、多彩なアレルギー疾患に悩む患者を高度専門的にかつ包括的に診療でき、患者を幸福にできる“トータル・アラージスト”の育成を目標に掲げて活動してきました。これらの時代・時勢、患者さんたちの要望、そして臨床医たちの到達すべき目標等を考察しつつ、本学術大会のテーマを“Patient-Centered Medicine とAllergy Scienceの結晶化”とさせていただきました(HP: http://jsa70.umin.jp/guide.html)。筆者の米国の友人たちをはじめ、世界のトップランナーのご講演を聴講できるビッグチャンスです(同時通訳あり)。

主な企画内容:
【会長講演】
永田 真
【特別講演】
1.浜本隆二先生(国立がん研究センター研究所):AIの臨床医学への応用
2.Ido Amit先生(Weizmann Institute of Science, Israel):Single cell transcriptomic analysis
【会長企画特別講演】
海老澤元宏先生(国立病院機構相模原病院):食物アレルギー診療の未来
【招請講演】

  1. William W. Busse先生 (University of Wisconsin, USA): Novel approaches for treatment of severe allergic diseases
  2. Parameswaran Nair 先生 (McMaster University, Canada) :Pathology of human severe asthma and indication of biologics』
  3. James Martin先生 (McGill University, Canada):Innate lymphoid cells and irritant asthma
  4. Bart Lambrecht先生(Ghent University, Belgium):Protein crystallization promotes type 2 immunity and is reversible by antibody treatment
  5. Bruce D. Levy先生 (Harvard Medical School, USA):Specialized pro-resolving mediator pathways in asthma and allergic inflammatory responses
  6. Stephen Durham 先生( Imperial College London, UK): Novel mechanisms of allergen immunotherapy
  7. Atsushi Kato先生 (Northwestern University Feinberg School of Medicine, USA):Role of innate lymphoid cells (ILCs) in allergic inflammation of the upper respiratory tract
  8. Andreas Wollenberg 先生(University of Munich, Germany):Precision Medicine for Atopic Dermatitis
  9. Cecile Rose先生 (University of Colorado School of Medicine, USA):Occupational hypersensitivity pneumonitis
  10. James E. Gern先生(Department of Pediatrics, University of Wisconsin USA): Rhinovirus and bronchial asthma
  11. Prescott G. Woodruff先生 ( University of California, San Francisco, USA): Non-Type 2 Targets in Asthma
  12. Sejal Saglani先生 (Imperial College London, UK): Airway inflammation and remodeling in childhood asthma』
  13. Hirohito Kita先生 (Mayo Clinic College of Medicine, USA):New insight into T cells
  14. Chang-keun Kim 先生(Department of Pediatrics, Sanggyepaik Hospital, Inje University College of Medicine, Korea): Biomarkers for eosinophil inflammation』
  15. Nizar Jarjour先生 (University of Wisconsin, USA) : Severe asthma research program in USA ; Now and in future
  16. Robert A. Wood 先生(Johns Hopkins University, USA):Future treatment options for food allergy
  17. 天谷雅行先生 (慶應義塾大学皮膚科) :アトピー性皮膚炎患者における皮膚微生物叢解析

【国際シンポジウム】

  1. European Academy of Allergy and Clinical Immunology joint symposium
  2. Asia Pacific Association of Allergy, Asthma and Clinical Immunology joint symposium
  3. East Asia Allergy Symposium

【会長企画特別シンポジウム】3セッション
【日本免疫学会との交流シンポジウム】1セッション
【シンポジウム】20セッション
【教育講演】20題
【教育セミナー・イブニングシンポジウム】28セッション
【一般演題】500数十の応募を頂戴しております。

充実した開花ぶりをしめすAllergy Scienceが実際のアレルギー患者さんのための“Patient-Centered Medicine”におおいに還元されてゆくべき有益な学術集会となり、新しい時代の幕開けの一端となることを祈っております。なお研修医、学生等は参加費無料の予定です。みなさまのご参加をお待ちいたしております。(文責:永田 真)

トップへ戻る