2020年8月8日(土)~9日(日)、リーガロイヤルホテル大阪において第1回日本喘息学会学術大会が開催されました。学会会長は近畿大学病院病院長の東田有智先生でした。同先生は会長講演におかれまして、現在の喘息ガイドラインは専門医などには適しているものの一般医にはむずかしく活用しにくい面があることを指摘され、一般医向けのガイドライン作成を提唱されるとともに、この学会として喘息の専門医制度を立ち上げられることなどを仰っておられました。
学会はCOVID-19感染拡大の影響を受け、会場開催とネットでの聴講を組み合わせた、いわゆるハイブリッド開催で行われました。会場には主要な演者は集合しましたが所属施設によっては大阪をふくむ感染拡大地域への出張の許可が円滑ではなく、ネットでご自身の大学自室等からの講義配信が行われるパターンもみられました。また会場では入場時の体温測定、手指消毒、マスク着用に加え、希望者にはCOVID-19迅速抗体検査が行われていました。
当センターからは今回、筆者(永田)、呼吸器内科の杣准教授、内藤助教、関谷助教がそれぞれ発表のために参加いたしました。
筆者は初日のランチョン(教育)セミナーとして、喘息の基礎病態である好酸球性気道炎症の最近の知見についてのテーマを頂戴し、当センターからの近年の新規論文成果の紹介をふくむ60分枠の講演を担当させていただきました。
杣准教授は初日午前の教育セミナーについて、非ステロイド系消炎鎮痛解熱薬誘発性喘息(いわゆるアスピリン喘息)についての最近の知見あるいは考え方について、30分のレクチャーを担当されました。
内藤助教、関谷助教は各々一般演題でのポスターディスカションで、喘息の気道炎症の病態研究、アレルゲン免疫療法のサイトカイン産生におよぼす研究について、それぞれ奮戦して発表していました。なおこのセッションの座長は杣准教授が担当されました。
学会を通じて、重要なcommon diseaseである喘息診療の本邦におけるレベル向上への意識あるいは、一般医家向けの新しい診療指針の確立を目指す方向性などが共有され、そしてCOVID-19 感染拡大下においても一定水準での学術集会が、ハイブリッド様式とはいえ開催できたことなど、意義のある学会であったと考えます。
なお筆者は学会中に開催されました総会において、この学会の理事にご指名いただきました。日本の喘息研究および診療のさらなる向上に少しでもお役に立てればありがたく、努力させていただきたいと思います。(文責:永田真)