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「アレルギー・好酸球研究会2018」が開催されました。

9月22日土曜日、東京千代田区の学術総合センターにおいて、「アレルギー・好酸球研究会2018」が開催されました。本研究会は80年代後半に、当時の獨協医科大学アレルギー内科福田健先生が米国メイヨクリニック医科大学から帰国され、日本に好酸球研究の技術をもたらしたことに端を発しております。そして当時同科教授であられた牧野荘平先生らによって1988年に設立された全国規模の学術集会です。当初はまさに好酸球に特化して、また製薬企業の全面的後援にて開催されていましたが、諸般の事情により、2013年以降は“民間移行”して医師主導型の学術集会として、筆者が代表世話人となって埼玉医科大学アレルギーセンターが事務局として、広く「アレルギー性炎症」をテーマとした学会形式の研究会として発展してきております。 本年度は日本大学医学部 IR・医学教育センター 免疫・アレルギー学の岡山吉道先生が会長をつとめられ、2つの招請講演と、29題の一般演題があつまり、100名以上の医師・研究者が集結する大変盛会の研究会となりました。

 はじめに岡山会長(写真上)が開会の辞をのべられたのち、午前中は好酸球の細胞生物学的研究などを中心とした一般演題の発表が続きました。当センター・呼吸器内科の内田義孝先生は、非常にまれな、GM-CSF受容体変異による肺胞蛋白症患者さんの好酸球の接着能力について検討され、GM-CFSには反応しないが逆にIL-3またIL-5による好酸球接着反応は増強されているという非常に興味深い発表をされていました(写真下)。

 本研究会はここ数年、欧米の巨大製薬企業さんにもご注目いただいており、ランチョンセミナー形式で、海外有名教授による教育講演の機会をご提供いただいております。本年度は、米国ミズーリ州セントルイス市のワシントン大学呼吸器内科教授であられる、Mario Castro教授がおいで下さいました(写真下)。筆者が司会をさせていただき、大量吸入ステロイドによっても好酸球性気道炎症が残存するタイプの成人重症気管支喘息における、各種の抗サイトカイン抗体療法の最新の知見について、素晴らしい御講演を頂戴いたしました。同先生は昨年の本研究会においでいただいた、筆者の恩師である米国ウィスコンシン大学のWilliam W.Busse教授などとも懇意であって共同研究者として活動しておられ、次回の来日時には埼玉医大にもおいでいただくことを約して、御講演のお礼を申し上げました。

 午後のセッションは時節柄?、近年注目を浴び始めているアレルゲン免疫療法に関する話題などをふくめ、アレルギー(好酸球)性炎症に対する治療の演題が活発に並びました。そのなかで、当センター内科外来を担当されている本学総合診療内科講師の小林威仁先生は、ドライパウダー粉末製剤の吸入ステロイドのみでは好酸球性気道炎症が充分に制御できない成人喘息症例においても、微細粒子ガス製剤の吸入ステロイドを併用することで、有益な抗炎症効果をあげることができることをご発表され、注目を集めていました。
最後に特別講演として、東京大学大学院医学系研究科疾患生命工学センター 健康環境医工学部門・教授の村上誠教授から、「脂質によるアレルギーの制御」についてのテーマで、大変に重厚で有意義な、素晴らしい特別講演を頂戴して、本研究会は幕を閉じました。
本研究会は、アレルギー疾患における好酸球などの意義が非常に注目されている時勢からも、“民間移行”をとげて当センターが運営を司ることとなった2013年以降、かえって年々と盛会となってきている実感があります。
明年の本研究会は2019年の10月5日土曜日に開催されます。本研究会の詳細につきましてはHP https://www.sec-information.net/eosinophils/data/announce.html をご参照いただければ幸いであります。「好酸球研究会」で検索していただいても、容易にでてくるとおもいます。以上、本センターにとっても重要な活動のひとつである「アレルギー・好酸球研究会」につきまして、本年度学術集会の御報告をさせていただきました。(文責:永田 真)

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