お知らせとコラム

埼玉医科大学病院アレルギーセンター > お知らせとコラム > コラム > 国際喘息学会(インターアズマ)日本北アジア部会が開催されました

国際喘息学会(インターアズマ)日本北アジア部会が開催されました

10月5日,6日の両日,熊本市にて第27回の国際喘息学会(インターアズマ)日本北アジア部会が開催されました。会長は前・熊本大学呼吸器内科教授の興梠博次先生でした。埼玉医大アレルギーセンター勢といたしましては呼吸器内科・小児科のスタッフが参加させていただきました。
学会前に開催されました役員会には小児科徳山研一教授と筆者呼吸器内科永田が出席いたしました。席上,来年度のインターアズマは日本北アジア部会のみとしてではなく,東京で4日間にわたって世界大会として日本が担当して開催されることが報告されました。欧米からも多くの参加者があることが期待されます。
さて本学会では香港のLeung教授の招請講演,興梠会長のPresident lectureに続きまして,特別講演1として筆者が「Is allergen-immunotherapy necessary for management of asthma?」のタイトルで講演させていただきました。

写真1

 現在の薬物療法では喘息が根治できないことが判明した今,アレルゲン免疫療法にかかる期待は大きいものがあります。日本では欧米や韓国に数十年遅れましたがようやくダニアレルゲン免疫療法が施行できるようになり,今後の普及に当センターとしても尽力してまいりたいと存じます。日本アレルギー学会が発行しているスギ花粉症とダニアレルギー(喘息,鼻炎)についてのふたつの「アレルゲン免疫療法の手引き書」は埼玉医大アレルギーセンター勢が主力で作成させていただいてもおります。講演のラストはいつものように本学キャンパスの写真をつかって締めくくらせていただきました。
ランチョンセミナーでは英国サザンプトン大学のPeter Howarth教授が重症喘息の病態についてとくに免疫学的・分子遺伝学的面から豊富な情報を披露してくださいました。なおHowarth教授はそのまま10月10日には埼玉医大においでくださり,臨時特別アレルギーフォーラムとして御講演をしてくださることとなりました。
午後の一般演題のポスターセッションにおいて,呼吸器内科の内藤恵里佳助教,内田義孝助教,杣知行准教授がそれぞれ発表されました。

写真2

 内藤恵里佳助教は卒後まだ4年目ですが,アジア部会とはいえ早くも国際学会デビューです。受け答えも立派なものでした。本学卒業生でもあり,本学学生などは身近な先輩の活躍をお手本にしていってほしいものとおもいます。内田義孝助教は本年度春の米国アレルギー学会(AAAAI)ではすでに本場英語圏でのoral presentationまで経験されておられ,場数を踏んでおられるからか,非常に落ち着いた発表ぶりでした。現呼吸器内科の医局長でもありさすがの貫録(?)でした,このおふたりはそれぞれ喘息の気道炎症病態についての臨床研究でのご発表で,杣知行准教授が指導されたものでした。杣准教授は翌6日朝には一般演題口演の座長もご担当されました。難しい演題がならんでいましたが堂々とさばいておられました。
6日午後には昨年の韓国アレルギー学会会長として,筆者を講演者として同国にお招きくださった,ソウル大学のSang Heon Cho教授が特別講演をしてくださいました。高齢者喘息についてのおはなしでしたが,社会の高齢化に伴い韓国でも大きな問題となってきていること,若年者と比較して免疫学的背景あるいは炎症病態などに差異があること,治療に難渋する場面が多いことなどを,アジアの喘息研究のエースのおひとりとして素晴らしい御講演内容でまとめておられました。
前述いたしましたように来年の本学会は世界大会として日本が当番国となっての開催となります。当センターからも小児科・内科が力をあわせ,埼玉医大の,そして日本の喘息・アレルギー研究の力強さを示して参りたいものとおもっております。(文責:呼吸器内科 永田真)

トップへ戻る