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アレルギー週間市民公開講座2017を開催しました。

当センタースタッフが中心となり、公益財団法人日本アレルギー協会が主催する2017年度のアレルギー週間市民公開講座が2月4日土曜午後に開催されました。今回の会場は、当大学病院にとっては近接市であって、いわゆる医療圏のなかにある坂戸市の、坂戸駅前集会施設でありました。坂戸市はちょうどこの時期に「スギ花粉飛散量日本有数の地?」となることで全国的にも有名で、とくにスギ花粉症のかたはおそらくみなさんがとても憂鬱な気分になられているのではないかとおもわれました。気管支喘息や食物アレルギー、またスギ花粉症を含むアレルギー疾患は、正確な専門的管理・治療をおこなえばかなりの成果をあげることができますが、日本では専門医が少ない現状があります。そして厄介なことには、標榜自由制度のためにアレルギー専門医でないどころか、日本アレルギー学会員ですらない医療機関がアレルギー科を標榜していたりして、混乱に拍車がかかっています。市民講座の大きな意義はこういう患者さんに正しい知識をもっていただき、救済につなげることだとおもいます。そういった視点でまずは企画・司会担当の筆者がオープニングリマークスを述べさせていただきました
そののち、「スギ花粉症」については埼玉医科大学病院耳鼻科客員教授の上條篤先生に、根本療法であるアレルゲン免疫療法についての解説をふくんだ御講演をしていただきました。次いで、「気管支喘息」については当センターOBの現・埼玉県立循環器呼吸器病センター医長の高久洋太郎先生が、各種の吸入ステロイド療法を中心とした薬物管理の重要性を含んだお話をいただきました。そして「食物アレルギー」につきましては埼玉医科大学小児科教授の徳山研一先生から、各種の臨床病型やそれぞれの注意点などをふくんだ丁寧な講義をしていただきました。それぞれのエクスパートの先生がたから市民向けのご講演を頂戴した次第で、いずれも、大変に好評でありました。
聴衆のみなさんには15分の休憩時間の間に質問をかいていただき、それを集計して分担をきめさせていただいたのちに、ラスト45分間で各演者あるいは筆者がそれを読みながら回答する形式で、Q&Aのコーナーをもたせていただきました。

 食物アレルギーの回避についてのご質問が非常に多かったとおもいます。また、どうやら非専門的な治療をお受けでお困りのかたもおられ、当方からアレルギー科を標榜していてもそれは自由標榜制度のゆえであって専門医を取得している医師のいる施設は非常に少ないこと、日本アレルギー学会の学会員でない医師ですらアレルギー科を標榜している施設があること(これ自体驚くべきことではありますが事実です)、そして「アレルギー専門医」とは例えば注射法の免疫療法や皮内テストを行っていたり、喘息管理にはピークフローなどをもちいていることなどをご回答いたしました。患者さんやご家族の日々の疑問についてのご質問が数々あり、大変に活発な会になったとおもいます。約2時間半があっという間にすぎてしまい、大変有意義な市民講座になったものと考えます。アレルギーに悩む坂戸市民を中心とした患者さんやご家族のみなさんに、少しでも正確な知識をつけていただき、お役に立てたのであればありがたいと考える次第であります。(文責 永田真)

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