9月3日から7日までの期間、ロンドンにおいてERS International Congressが開催されました。今回当科より自分の応募した演題がPoster discussionに採択されたため参加させていただける運びとなりました。このロンドンですが、26年前に徳山教授が留学し研鑽を重ねられた街であり、今年の2月からは当科医局員である古賀先生が留学し研究の日々を送っている非常に縁が深い(注:筆者は初訪問)土地でもあります。
9/2 成田空港からロンドンのヒースロー空港へ。筆者はこれまで2回ほど海外学会に同行・参加させていただいたことがありますが、出発/到着時の空港であまり良い印象がありません。オーストラリアでは入国時に別室(取り調べ室?)へ連れていかれそうになったり、アメリカでは日本へ帰国する際にボーディングブリッジにいた麻薬取り調べ犬にスンスン嗅がれたり(1度スンスンして直ぐに興味を失ったため何事もなく解放されました)。今回もどうなることやらと一抹の不安を抱えながら空港行きのバスに搭乗しました。結果からすると問題なくロンドンに到着・入国することが出来ました。
9/3 朝から古賀先生と宿泊先ホテルで待ち合わせ。「ロンドンは電車の不具合のため“ All Change ! ”とのアナウンスがあって途中で突然降ろされて車両を乗り換えしなければならないことがしょっちゅうあった」。前日、移動時間に徳山教授がおっしゃっていた事態がこの日の朝から発生していました。ホテルのある沿線が車両不具合のため朝から閉鎖されていたのです。当初は地下鉄を乗り継いで会場に向かう予定でしたが、一駅分歩いて、学会会場付近まで続く路線の駅まで歩きます。結局、週末は駅が機能することは無く、学会期間中はこの距離を何度も歩いて往復するこ とになりました。会場はロンドン郊外西側にある建物で2駅にまたがって広がる大きな会場でした。我々以外の日本人の参加者もおり、喘息サマースクールに学生時代に参加していた森住先生(現在は徳島大学呼吸器内科に所属)にも偶然会うことが出来ました。
初日は会場の設営途中で、開催されている内容は有料セッションやメンバーミーティングが主のため、この後は、曰く『濃縮された、無駄を極力省いた、徳山教授と古賀先生の合議によるディープなロンドン観光』を行いました(ピカディリーサーカスや大英博物館、コヴェントガーデン、中華街などを訪れましたが、詳細は省略します)。
9/4 朝から学会会場へ。自分の発表するセッションは後日でしたが、どのような形で開催されているか確認するため教授と別行動で発表会場へ向かいます。ここで初めて知ったのです、Poster Discussionというセッションの恐ろしさを・・・。1時間ほど自分のポスター付近で質疑応答に答えた後、残りの時間で発表者一人一人が自分の発表の要点を説明。その後さらに質疑応答を行うというもの。しかもこの質疑応答時にはスライドやポスターの使用は皆無であり何も補助するツールが無い状況下、英語で話さなければならないということに。この後から気が気でない状態に陥りました。
9/5 日中は学会を聴講。千葉大の先生や岡山大学の先生のポスター展示を手伝ったり発表を参考にさせていただきました。夕方から古賀先生の研究室へ。以前徳山教授が通っていたラボでもあります。ここに飾られていた写真を教授は感慨深く眺めた後、翌日の発表に向けて指導がきっちり入りました。
9/6 この日は朝1番で発表。開始15分前に会場に入りポスターの掲示を行います。最初の1時間はポスター傍に立ち見てくれた人からの質問にかろうじて答えます。残り1時間で件の要約発表/質疑応答が開始となりました。結論をいうと、一人ずつのディスカッションに時間がかかりすぎてしまい、自分の名前を呼ばれる前にtime upとなり、演壇に立つことはありませんでした。教授からは「“I came here to make a presentation from Japan !” とchair personに言ってこい!!」と冗談で言われましたが・・・。セッション終了時、Chair personを務めた二人は発表者全員の発表の場を与えられなかったことで明らかに意気消沈しているし、他の人に肩をたたかれながら「Don’t mind」なんて声かけられちゃっているし・・・。そんなこんな自分の発表は終了しました。この日の夜に古賀先生がお世話になっているImperial College の伊藤一洋先生と会食。現在の英国事情など色々とお教えいただき、大変楽しいひと時を過ごさせていただきました。伊藤先生、ありがとうございました。
学会内容ですが、メガスタディの発表も日本より活発な印象を受けました。特に、そのような発表の場合、それによるコストダウンがどれだけ期待できるか?という内容が常に盛り込まれていた印象を受けます。日本は皆保険であり、小児の場合ある年齢まで自治体の補助が受けられるためコストに関する認識が薄れがちですが、対費用効果も含めて医療なのだと学会を通じて再認識させられました。
蛇足ですが、ロンドンは言われているほど食事は不味くなく、いろいろな国の食事を楽しむことが出来ました。電車やバスの交通も整備されていて比較的住みやすいのでは?と感じられました。喫煙率と道路の汚さ(吸い殻のポイ捨てやゴミの散乱程度)を除けば。
(文責:小児科 盛田 英司)