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米国アレルギー・喘息・免疫学会(2016)

 2016年度の米国アレルギー・喘息・免疫学会(American Academy of Allergy, Asthma & Immunology, AAAAI)が3月4日から3月7日まで、ロサンゼルスで開催されました。アレルギーセンター外来の東館への移転など忙しい中、スタッフの協力もあり、呼吸器内科から私が、ポスター発表して参りました。アレルギー関係の研究者は、最近はヨーロッパアレルギー学会に参加しているのか(昨年はバルセロナ、今年はウィーン)、今年は特に内科系の参加者が少なかったように思います。筆者は、重症喘息と健常人の好中球またはLPS刺激好中球の、好酸球基底膜通過反応誘導の比較について発表してきました。
 埼玉医大にお世話になってから、AAAAIは毎年参加させていただいておりますが、毎年刺激を受けて帰ってきます。根底にアレルギーの原因となるアレルゲンの研究があり、アレルゲン免疫療法のセッションがほぼ毎日あり、またアレルギーの機序にせまる免疫に関する研究が多数あります。
 私は数年前にウィスコンシン大学に留学させていただき、ライノウィルスの研究をしましたが、今回の学会でもライノウィルス関連の報告も目立ちました。ライノウィルスCの受容体が同定されましたが、その遺伝子変異は小児の重症喘息増悪を誘導しやすいという報告もされており、喘息の病態形成における役割も参加者の興味を引くところとなりました。また昨年、ピーナッツアレルギーのリスクのある子供では、生後6か月から5年間ピーナッツを摂取するほうが、回避するより、ピーナッツアレルギーが予防されるとするLEAP studyが発表されましたが、今年はさらに摂取を1年中止(回避)してもその効果が維持されることが報告されました(LEAP-On study)。さらに、すべての子供を対象にした場合も、生後3か月から、母乳と併用して、6種の食物摂取(牛乳→卵、ピーナッツ、セサミ、魚→小麦)を6か月程度継続すると、卵アレルギーとピーナッツアレルギーが抑制されることが報告され(EAT study)、食物アレルギーのマネージメントに対する考え方が変わりつつあります。
 今回はとうとう、学会が一日減ってしまいました。5年前も書かせていただきましたが、学会の規模が小さくなってきています。ただいつもは半日くらい観光するのですが、学会の内容も濃縮されており、今年はコンベンションセンターにこもりきりでした。縮小しながらも、学会としての質を維持されているのは大変な魅力で、また来年も参加したいと思いました。(文責中込一之)

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