埼玉県は“スギ花粉症のメッカ”であり、例年この時期に当センタースタッフの企画によって公益財団法人日本アレルギー協会主催の「アレルギー週間市民公開講座」の埼玉地区の講座を担当・開催いたしております。本年は第22回アレルギー週間の行事として、「アレルギー週間市民公開講座2016 ~正しい知識が治療の第一歩です。あなたも参加してみませんか~」という正副タイトルを冠して、2016年2月6日土曜午後、さいたま市の大宮ソニックシティにおいて開催いたしました。筆者(アレルギーセンター長永田)が企画・司会を担当いたしました。
会に先立ち、まず筆者がオープニング・リマークスを述べさせていただきました(写真1)。近年は、日本で普及が遅れていたアレルギーの根本治療「アレルゲン免疫療法」がようやく日本でもラインアップがそろってくるなど、アレルギー領域の治療の発展はめざましいので、あやしげな民間療法などに頼らず、正しい治療を受けてほしいということを申し述べました。
そののち、まず「スギ花粉症」について本学耳鼻科・アレルギーセンターの上條篤准教授が、基本的な診断、アレルゲン回避指導や薬物治療について、さらに最新のアレルゲン免疫療法である舌下免疫療法の話題までを含めて講義を担当されました(写真2)。とくに注目の舌下アレルゲン免疫療法につきましては、筆者が責任編集者をつとめた日本アレルギー学会の「スギ花粉症におけるアレルゲン免疫療法の手引き」の著者(制作委員)のおひとりでもあり、実際的な解説をわかりやすく、そして大変にていねいにされていました。
ついで「気管支喘息」については県内の大ベテランで気道疾患の第一人者である自治医科大学附属さいたま医療センター呼吸器内科教授の小山信一郎先生からご講演を頂戴しました。小山先生は特にペットの喘息におよぼす影響を中心に、非常に興味深いお話をしてくださいました。
さらに「食物アレルギー」について県内で小児領域を中心に精力的に食物アレルギーの診療にあたられておられる、いわつき小児科クリニック院長の戸塚隆太先生から、わかりやすいご講演を頂戴しました。
15分の休憩時間の間に質問をかいてもらって集計し、ラスト45分間で各演者あるいは筆者がそれを読みながら回答する形式で、Q&Aのコーナーをもたせていただきました(写真3)。
この日はどの講演も好評であり、また活発な質疑応答が行われ、約2時間半があっという間にすぎてしまい、ご参加くださった市民のみなさんにとっても、大変有意義な講座になったものと考えます。当アレルギーセンターは国際的な情報発信などもすすめつつ、こういった市民講座などの活動を通じて地元埼玉県のアレルギー診療の啓発・向上にも、今後ますます努力してまいりたいと存じます。
最後に本市民講座の開催にあたり後援して下さり、また当日の会場係り等々でお骨折りをくださいましたふたつの製薬企業さん、アストラゼネカさんとアステラス製薬さんにこの場をお借りして感謝を申し上げたいとおもいます。
(文責:永田 真)