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2015年5月23日埼玉医科大学かわごえクリニックで、「アレルゲンの根本治療」であるアレルゲン免疫療法についての市民公開講座が行われました。公益財団法人日本アレルギー協会と鳥居薬品株式会社の共催ですが、全国に先駆けて、我が国初めての「アレルゲン免疫療法に関する市民講座」が、アレルゲン免疫療法のメッカである埼玉医大関連施設で行われたことは、大きな意味があります。初めての試みでもあり、どのくらいの方が来場いただけるか不安でありましたが、合計198人(!!!)と、予想をはるかに上回り、会場に入れず、立ち見の方がでるくらいでした(写真1)。我々も、アレルゲン免疫療法に対する期待をヒシヒシと感じることができました。
アレルゲン免疫療法は、病気の原因アレルゲンを少量から開始し、徐々に増量させながら投与し、過剰な免疫反応を弱めていき、症状が起こりにくくする治療法です。体質改善的な治療法で、唯一の原因療法であり、治癒をもたらす可能性があります。今回の市民講座では、センター長永田教授の司会のもとで、食物アレルギー、喘息、花粉症におけるアレルゲン免疫療法についての講義がありました。
はじめに国立相模原病院小児科の佐藤さくら先生による「食物アレルギーにおける経口免疫療法」についての講義が行われました(写真1)。食物アレルギーの診断から、生活指導、治療、社会問題、さらに研究中である経口免疫療法の話まで、幅広いお話がなされました。
次に中込が「気管支喘息におけるダニアレルゲン急速免疫療法」についてお話ししました(写真2)。当センターでは、夏以降にダニ(+スギ)アレルギーに対する急速免疫療法を入院で行う予定です。短期集中的に毎日数回の注射を行うことで、目標維持量まで到達しやすくなり、効果が発現しやすくなります。さらに入院で行うため、安全性も担保できます。適応は、ダニが原因の、アレルギー性鼻炎または軽症から中等症の気管支喘息です。希望される方はアレルギーセンターに受診いただければと思います。
最後に本学耳鼻科上條篤准教授が「スギ花粉症の舌下免疫療法」について講義されました(写真3)。 スギ花粉症の診断から、舌下免疫療法の意義や実際についてのわかりやすい話でした。
その後、休憩の間に質問をかいてもらい、最後の30分で、我々が質問を読みながら回答する形で、Q&Aコーナーを行いました(写真4)。50以上の質問があり、結局45分かかりました。どの講演も好評であり、質疑応答は活発で、とても有意義な市民講座でした。今後、同様の市民講座が全国的に行われると思います。(文責中込一之)