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第39回アレルギーフォーラムが開催されました

 2014年11月13日、第39回埼玉医科大学アレルギーフォーラムが開催されました。今回のテーマは、誰もが遭遇する蕁麻疹のうち、特に「慢性蕁麻疹」であり、日本大学板橋病院皮膚科教授の照井正先生にご講演を賜りました。内容は、①慢性蕁麻疹の発症機序における最新の知見と②治療についてでした。
 発症機序につきまして、原因は不明なことが多く、機序の理解に従来のアレルギー検査(RAST、RIST)では陽性率はきわめて低く、原因の特定には限界があるとのことでした。近年、慢性蕁麻疹患者の血清中に抗 FcεRⅠ抗体が存在することが判明し、実際に抗IgE抗体によって治療効果があること、さらにサブスタンスPの受容体であるMrgX2を介したマスト細胞の活性化も関与する可能性があることが示唆され、発症にはこれら2つの自己免疫機序の関与が示唆されているとのことでした。
 特にMrgX2がヒトのマスト細胞に発現していることを確認されたのは照井先生の研究室で、MrgX2mRNAを抑制したノックアウトしたヒト培養マスト細胞ではサブスタンスPによる脱顆粒が有意に抑制されたことをお示しになられました。今後の課題としてMrgX2が慢性蕁麻疹の病勢や罹病期間にどのように影響するかが重要であることを挙げられました。
 また、慢性蕁麻疹の中にはアスピリン不耐症が多いことからアスピリンなどが一部の症例で発症に関与している可能性があることを指摘されていました。これについては従来よりCOX阻害からロイコトリエン(LT)が産生される経路が考えられていましたが、アスピリンがマスト細胞上のL型Caチャネルを介してマスト細胞の活性化を引き起こしていることも原因の一つとの見解を示されました。
 治療につきまして、抗ヒスタミン薬は症状を抑えるために4倍まで増量可能との見解がありますが、脳内移行については注意が必要とのことでした。
 病態生理に関する最新の知見から日常診療のノウハウまで幅広くお話しされ、中でも分子生物学的な内容が主でしたが、テーマが身近であったことと照井先生の丁寧なご講演にアレルギーセンター所属の各科医師をはじめ医学生、アレルギーセンターのメディカルスタッフなどからも多数の参加を頂き、みな熱心に聞き入っておりました。モチベーションを常に高く持ち、これだけのパワーを出すことができるアレルギーセンターの団結力を垣間見た講演会でもありました。(文責 植田穣)

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