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センター長がプロボクシング世界2階級制覇の前王者・八重樫東さんと対談しました

 アレルギー疾患の代表である気管支喘息は、若年者を中心に発生するため、常にアスリート問題がつきまといます。以前に本学アレルギーフォーラムでご講演くださった長野五輪スピードスケート金メダリストの清水宏保さんは、喘息を克服されて金メダルを獲得されたことで非常に有名ですが、日常的には、インターハイ・インカレや、国体、またシンプルに大学や高校の部活でのご相談を、喘息患者さんからしばしば頂戴いたします。
 ご高名なスポーツジャーナリストである二宮清純さんと製薬企業グラクソスミスクラインさんのタッグにより、こういった喘息を克服した若きアスリートたちの対談企画があり、「喘息もちの呼吸器・アレルギー分野の教授」である筆者に白羽の矢が立てられました。そのお相手が、第40代WBC世界フライ級王者でかつ第20代WBA世界ミニマム王者でもある八重樫東(あきら)さんです。筆者は個人的にアイスホッケー一家でありましてアイスホッケーやスケート競技には詳しいのですが、ボクシングは不勉強で、前夜からあわててビデオをみまくって対談に臨ませていただきました。
 対談はプロのジャーナリストである二宮清純さんのご司会で、八重樫さんの少年時代からの喘息との付き合い、日常の対応、また試合に臨む際のコントロールなどについてお話を伺い、筆者が逐次、コメントやご助言をさせていただくかたちとなりました(写真中央が八重樫さん、左が二宮さん)。八重樫さんは喘息に負けずに夢を追いつづけて頑張ってみえてきたわけですが、お人柄的にも謙虚で誠実さのあふれる好青年、「素晴らしい若者」でした。途中、「あしたのジョー世代」である筆者が、少年時代にファイテイング原田さんが3階級制覇を目指した豪州でのジョージ・ファメション戦でホームタウン・デシジョン?で敗れ、その際敵地の豪州人たちが原田さんをスタンデイング・オベーションでおくってくれたこを思い出しその話をしますと、さすがに二宮清純さんはそのことをよくご存じでした。実は八重樫さんは先日絶対的世界最強といわれた挑戦者ロマゴンに壮絶な打ち合いの末に敗れたのですが、試合後に、敗者である八重樫さんが絶大な拍手の雨を浴びていたビデオをみており、その光景が自分には少年時代にTVでみた原田さんとダブっておりました。八重樫さんも伝説のチャンピオン原田さんをアツく語るへんな(?)喘息もち教授に少々驚かれていたようでした(笑)。
 八重樫さんには喘息コントロールテスト(ACT)の問診やピークフローメーターをふいていただきました。いずれもさほど悪くはないのですが、完全健康状態ともいえず、やはり長年の喘息と「もうひとつの戦い」を繰り広げられてきた名誉のキズ跡がここにもあるのだと思われました。年末2014年12月30日には3階級制覇を目指して今度は挑戦者として世界戦に臨まれるそうで、感冒にお気を付けいただくこと、アレルゲン曝露にもお気を付けいただくこと、また運動誘発喘息がでぬように充分なウオームアップなどをお願いいたしました。また何かあればいつでも健康相談承りますと、お約束してまいりました。
 余談ですが翌日ふとツイッターをみますと、八重樫さんが自分をフォローされていました。個人的趣味であるアイスホッケー関係の匿名アカウントだったのでびっくりしました。お返しに?高麗神社の必勝お守りを、お送りいたしました。そして12月30日の世界戦には応援に行くことといたしました。八重樫さんのさらなるご活躍がすべての喘息・アレルギー患者さんたちへの大きな勇気となりますように、この“ゼンソク仲間”の親愛なる素晴らしい若者に、リングサイドで直接、熱烈エールを送ってまいりたいと存じます。(文責永田真)

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