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スギ花粉症の新規治療についてのアレルギーフォーラムを開催しました

 今年の2月は、埼玉県でも記録的大雪を観測し、例年より花粉の飛散が遅くなっているようですが、外来では花粉症の症状を訴えて薬をもらいにくる患者さんが徐々に増えているように思います。今回コラムをかかせていただくことになりました、耳鼻科の井上といいます。文才はありませんが、講演のすばらしさが伝われば幸いです。今回のアレルギーフォーラムは2月13日に埼玉医科大学第四講堂で開催され、千葉大学の米倉先生に特別講演「スギ花粉症治療の最前線」のお話をしていただきました。学生や、コメディカルの方も多く参加され、耳鼻科に入局してまもない若輩者の私にもわかりやすかったです。
 アレルギー性鼻炎の患者は年々増えており、その中でもスギ花粉症患者はどの年齢層でも増加の一途をたどっています。アレルギー性鼻炎の治療は、重症度や病型によって多少異なりますが、第二世代抗ヒスタミン薬や鼻噴霧ステロイド薬、ロイコトリエン拮抗薬などが主な治療薬です。それに加えて、アレルゲン免疫療法として、皮下免疫療法と最近話題の舌下免疫療法があります。舌下免疫療法は、副反応としてのアナフィラキシーの頻度も低く、注射をうつ時の痛みもないため患者さんにとっては、長所が多い治療法だと思います。 新規のアレルゲンに対する感作の抑制や、喘息発症の予防効果も報告されています。舌下免疫療法特有の副作用として、口腔内の問題がありますが、内服薬やステロイドの軟膏で対処できる症例が多いようです。スギ花粉症の重症度評価は、症状スコアのような主観が入りやすいもので行う場合が多いですが、例えば喘息でいったら好酸球や血清IgE、呼気NOのような、客観的にみることができるマーカーを現在調査中のようです。近い将来、そういう指標ができると患者さんにもわかりやすくて便利だと思います。アレルギー性鼻炎の患者さんの中でも、重症な方や今まで忙しくて通院できず、満足のいく治療ができていなかった方には、おすすめの治療法だと思います。また、痛みがないことや副作用の面から考えると、成人での経験を経て、早く小児でも使用できることが期待されます。 
 私は幸運にも、スギや食物などのアレルギーがないので、小さいころからすくすく成長しております。ただ学生のころから“勉強アレルギー”があって、避けて通ってきた道なのですが、今の恵まれた環境でこれからは色々と勉強していきたいと思います。(文責:井上智恵)

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