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第23回国際喘息学会日本・北アジア部会を開催しました

 2013年6月28・29日の二日間にわたり、「第23回 国際喘息学会 日本・北アジア部会(The 23rd conress of INTERASMA Japan North-Asia)」が東京・都市センターホテルにて、当センターのセンター長である永田真教授を会長として、埼玉医科大学アレルギーセンター主催の下で開催されました。本学会は当アレルギーセンターとして初めての国際学会の主催となります。2週間前には既報ごとく、「アレルギー・好酸球研究会」の事務局として準備・運営して開催したばかりで、過密スケジュールの中、永田教授指揮下の下、呼吸器内科杣講師を事務局長として準備して参りました。
 この度のメインテーマは「Patient orientedにみた気管支喘息~小児から成人まで」でした。“Patient oriented”は我が埼玉医科大学の目指す方向性、スローガンでもあります。永田教授自身が幼少時から現在に至るまで喘息患者で、喘息治療は生涯にわたる生活の質的保持の視点が重要であり、また合併する多彩なアレルギー疾患の治療を含んだ包括的な管理が必要とのお考えからだとききました。このコンセプトのもとに特別講演1題、招請講演3題、シンポジウム4(うち2企画は国際シンポジウム)、ランチョンセミナー4題、一般演題56演題が発表されました。喘息に関わる基礎研究から臨床に至るまで全領域を余すところなく網羅し、最新かつ最高峰レベルの充実した内容で、喘息の若手研究者を中心に200名を超える参加者があり、大変に盛会でありました。
 中でも永田教授の恩師であるウイスコンシン大学(USA)William W Busse教授の特別講演は、“Risk factors for viral respiratory infection and asthma”のテーマで、これまでの情報をわかりやすくまとめて頂きつつも最新の知見まで網羅した内容でさすがに世界のトップ教授の講演で、おおいに刺激と感銘をおぼえました。
 香港からはアグネス・チャンさんの実姉で国際的に高名な女性教授であるHelen Chan先生が、本学小児科徳山研一教授のご司会のもとで、国際シンポジウム1において”Allergen immunotherapy; Its impact on asthma”のタイトルで講演されました。またChinese University of Hong Kong の名物教授Gary Wong 教授は招請講演1において””Impact of air pollution on asthma”のテーマで、黄砂、PM2.5から調理での煙にいたるまで、多彩な空気汚染の気道アレルギーへの影響について明快にご講演くださいました。
 招請講演2では本学免疫学教授の松下祥先生が「好中球性気道炎症とドーパミン」のテーマで、この埼玉医科大学発の免疫・アレルギー学の最新情報について講演され大変に好評でありました。招請講演3では本学アレルギーセンターからの留学受け入れ等で何かと交友の深いメイヨークリニック(USA)免疫アレルギー学科教授のHirohito Kita(紀太博仁)教授から、“Implication of innate immune response in asthma”のご講演をいただき、日進月歩のアレルギー免疫学の最先端の知見について難解な内容を短時間にも関わらず明快にご説明および今後の展望を指示していただきました。いずれの招請講演においても質疑応答は熱を帯びておりました。
 そのほか国際シンポジウム2は”Korea-Japan symposium on asthma research”と題され、日本ならびに韓国の代表的な若手による、アジア発信の気管支喘息研究の最新成果の競演となりました。韓国サイドは座長のChang-Keun Kim教授以下、スピーカーは新進気鋭の若手3名(1名は女性)でした。また”Asthma in patients with systemic allergy”のシンポジウムでは、本学耳鼻咽喉科講師の上條先生が、「耳鼻科からみた気管支喘息」のテーマでシンポジストのおひとりとして活躍されました。
 Congress party(懇親会)には丸木理事長がご臨席くださり、ご祝辞を賜りました。そのなかで埼玉医大出身の卒業生教授である永田が会長に選ばれたことを感謝するとともに、埼玉医大として誇りにおもうとのおはなしがありました。またその次には日本アレルギー協会理事長(元東大物内教授)の宮本昭正先生がスピーチされましたが、そのなかで実は宮本先生は埼玉医大の前身である毛呂病院に勤めたことがあるというおはなしがあり、丸木理事長とも数十年ぶりの御再会ということで大変喜ばれて握手される一幕もありました。Busse先生は永田会長の奥様とHelen Chan先生の間にお座りになり終始ご機嫌麗しく、また祝福のスピーチを頂戴いたしました。埼玉県西に位置する本学が主催ということで、埼玉の西の都である川越市のご協力で、川越祭りのお囃子の公演のご提供があり、韓国の若者たちをはじめ海外のみなさんを大変に喜ばせました。永田会長はHelen Chan先生から祝福としてネクタイをおくられご満悦でありました。
 大会2日目の夕、最後に会長の永田先生のご挨拶にて会を締めくくり、多くの方々のご支援の下の無事成功裏に終了いたしました。二日間終始大変に活発で熱心な討論が繰り広げられ、質の高い学術集会となったとおもいます。この場をお借りしましてご参加、ご尽力いただいたすべてのスタッフの方々に感謝を申し上げます。
 この度は、2週間前に新体制後初の好酸球研究会の運営を終わったばかりでありましたが、疲れを感じずそのままの”好調な波”に乗った雰囲気のまま全力でスタッフ一同一丸となって、これまでにないほどの盛況な学会を運営できましたことを誇りに思いますし、引き続き日々の診療と研究へと繋げていければと思っております。締めくくりの言葉として、医学が進歩する度に新たなる研究課題が生まれてくるアレルギー学について、臆することなくに関心を持ち携わりたいと思っていただける”熱い仲間”を心よりお待ちしております。(文責:小林威仁)

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