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「知っておきたい薬剤アレルギーの知識」のテーマでアレルギーフォーラムが開催されました。

埼玉医科大学アレルギーセンターでは定期的に学術講演会としてアレルギーフォーラムを開催しています。聴講対象はアレルギー専門医、一般医師、研修医、薬剤師、看護師、学生、また近隣の開業医・勤務医までと幅広いです。今回で第33回を迎え、5月30日に帝京大学呼吸器・アレルギー内科山口正雄教授に「知っておきたい薬剤アレルギーの知識」というテーマで講演を頂きました。薬剤によるアレルギーはどの診療科でも日常的に常に経験することであるせいか、参加者は50人以上にのぼりました。

講演のおもな内容は、

  1. アナフィラキシー(様)反応の報告例
    原因薬剤は抗生剤・造影剤・解熱鎮痛薬が多い
    ここ数年は年間20~30例の死亡例あり
  2. 薬物アレルギーの発生機序
    Ⅰ型反応からⅣ型反応まで
  3. 薬物アレルギーの発症に関する因子
    HIV感染者やシェーグレン症候群患者では薬物アレルギーの頻度が高い
    β-ブロッカーやACE阻害薬によりアナフィラキシーが重篤化する
  4. アナフィラキシーの分類
    IgE依存性のものをアナフィラキシー反応、IgE非依存性のものはアナフィラキシー様反応という
  5. アナフィラキシーの救急処置
    アドレナリンが第一選択薬、皮下注よりも筋注の方が吸収が早い
  6. 薬物アレルギーの診断・検査
    正確な病歴聴取と薬物アレルギーを疑うことが重要
    皮膚テスト、試験管内検査、試験的再投与など
  7. 局所麻酔薬過敏
    過敏反応を起こすという患者さんを多いのだが、実際にはリドカインに真にアレルギーを示すひとは少なく、アナフィラキシー反応の頻度は非常に低い
    エステル型とアミド型の間には交差反応はない

複雑かつ診断も難しい薬剤アレルギーに関して、基本的な部分から、すぐにも日常診療に 役立つ知識を症例提示や統計、文献なども交え、非常にわかりやすく解説頂きました。個 人的には造影剤アレルギーに対する注意喚起として「くしゃみをしたらコードブルー」と 言葉には、そのくらいアレルギーに関してよく注意しておくべきであるのだと感じられ、 造影剤に限らず、薬物使用時には常にアレルギーを起こす可能性があるということを再認 識させられました。また診療で局所麻酔薬アレルギーが疑われる患者さんにあたることが あり、疑われる患者は多いのですが、実際本当にアレルギーを起こす患者は非常に少ない こと、その疑い患者の多くが検査も受けずに安易に推測診断がなされている現状を改めて 理解させられました。今回の講演は薬剤アレルギーに対する意識を改めて強く持つことが できた有意義な勉強会となったとおもいます。この場をお借りして山口教授に感謝を申し 上げたいと思います。(文責:呼吸器内科 内田義孝)

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