北のほうでは、まだまだ豪雪が続いていますが、関東では寒さも弱まり春の訪れがそこまで来ているように感じる今日この頃です。一方、花粉シーズンが本格的になってきており、花粉症の方にとっては憂鬱な日々となっていることでしょう。各いう私もそのひとりであり、自分の症状と患者さんの症状と格闘する日々がはじまりました。
今年の花粉飛散量は昨年が少なかったとはいえ、3倍~7倍といわれています。また、先のコラムで永田先生が「腐海」と表現されていたように、坂戸市は日本一の花粉飛散量であります。そんな折、第32回アレルギーフォーラムを2月28日埼玉医科大学で開催いたしました。今回は大分大学医学部 耳鼻咽喉科頭頸部外科講師 児玉悟先生を特別講師に迎え、特別講演「花粉症治療のup to date」をしていただきました。
花粉症を治療しているのは耳鼻科だけではありません。内科、小児科でも、治療を行っております。そこで、まず初めに、児玉先生はそれぞれの診療科でのアンケートをとられた結果をお話しくださいました。その中でも、印象深かったのが、内科、小児科の先生の中にもしっかり鼻内所見をみられている先生がおられることに驚きました。若輩者ながら耳鼻科医のわたくしですが、鼻内所見である程度、花粉症と判断はつくため、採血等のアレルギー検査は行わず、治療をすることがあります。しかしながら、内科、小児科の先生方も鼻内所見も診られ、判断し治療を行っていることに、尊敬の念を抱かざるをえませんでした。アレルギー専門医として、Generalに診られる重要さを改めて思い知らされました。
また、2013年にアレルギー性鼻炎の治療ガイドラインの改定が行われました。このガイドラインの説明もしていただきました。変更点はもちろんのこと、そんな細かいところまで、ガイドラインに記載されているのかと、眼から鱗でありました。ぜひ、この機会にもう一度みなさんもガイドラインを見直してはいかがでしょうか。
さて、児玉先生は耳鼻科の中でも鼻の手術でとても有名な先生であり、今回も花粉症をはじめ、鼻閉に悩む方々に対し行った手術治療の方法を動画で講演していただきました。
近年、鼻の手術は内視鏡によるものがスタンダードになってきており、通年性のアレルギー性鼻炎や鼻中隔湾曲症にたいして、鼻閉改善の手術を内視鏡下に行っております。手術は様々な方法がありますが、児玉先生は鼻中隔矯正術、粘膜下下鼻甲介骨切除術、後鼻神経切断術をセットとして行っているそうです。その動画を拝見いたしましたが、華麗な手術で、その治療効果も覿面でありました。しかしながら、児玉先生は鼻の中だけではなく、鼻の形を治すことによっても鼻閉は改善されると、その手術方法を御紹介くださいました。外鼻形成術は本来、鼻の形を治すための手術であり、形成外科が得意とする分野であります。事故などで鼻が曲がってしまったという方などはそれに伴い、鼻の中心の軟骨もずれてしまい、鼻閉を生じるようになってしまいます。そこで、鼻の形を整えることで、鼻閉も改善されます。若い女性の症例もありましたが、傷跡もわからずに治癒していました。
なかなか普段手術をみることのない内科、小児科の先生やコメディカルの方々は、初めて手術を見る方が多く、感銘を受けていらっしゃいました。また耳鼻科医としても手術手技やその方法等、とても勉強になりました。
会場では、医学部生らも参加しており、懇親会では熱心に児玉先生へ質問をしておりました。これを機会に彼らが、アレルギー専門医(個人的には耳鼻科医)を目指していただけたらと願います。 (文責 耳鼻咽喉科 井上 準)