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第21回 小児臨床アレルギー懇談会報告

 去る6月30日、『第21回小児臨床アレルギー懇談会』がさいたま市で開催されました。本会は、千葉、神奈川、埼玉の小児アレルギー専門医が集まり、3県持ち回りで毎年開催されてきたユニークで歴史のある会ですが、今回で一端終了ということになりました。最終会の今回は当教室の徳山研一教授が会長をされ、「アレルギー発症の予知・予防はどこまで可能か?」というテーマで、食物アレルギーと気管支喘息を中心に今後の小児アレルギー学の課題について2つの特別講演が企画されました。
 懇談会は、まず長年本会の遂行にご尽力されてきた下志津病院前院長の西牟田敏之先生がこれまでの本研究会の歴史を振り返るところより始まりました。食物アレルギーの講演では千葉大学小児科准教授の下条直樹先生から、千葉大学でこれまで取り組んでこられたコホート研究の結果を織り交ぜた発表がありました。皮膚及び腸管の黄色ブドウ球菌定着はアトピー性皮膚炎発症のリスクであり、その対策が発症予防の候補となる可能性があることや、母乳中の可溶性CD14がアトピー性皮膚炎発症の予防因子となる可能性があること、逆に母乳中のCoenzyme Aはアレルギー反応を促進する物質であることなどを呈示され、非常に興味深い内容でした。群馬大学名誉教授の森川昭廣先生からは喘息の予知・予防のお話があり興味深く拝聴しました。エジプト文明の時代から喘息と思しき記述が残されていること、日本においても江戸時代の文献ですでに喘息の症状・経過などが的確に記載されていることなどを示されました。喘息という疾患は古くより人々を悩ます疾患であるということを知り、驚かされました。
 本研究会は、「東京に負けずに、小児アレルギーの情報を千葉、神奈川、埼玉の3県から発信していく」という経緯で開催されたとお聞きしたことがあります。今回でひとまず幕を下ろすとのお話しでしたが、いつの日かまた再開されれば良いなと思いました。   (文責:小児科 盛田英司)

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