6月7日、第30回埼玉医大アレルギーフォーラムが開催されました。今回は、東京都立小児総合医療センターアレルギー科部長の赤澤晃先生をお招きして「ラテックスアレルギーの基礎と臨床」というタイトルでご講演いただきました。浅はかな私は「ラテックス=手術時の手袋かな、そういえば果物と交差反応があるんだっけ?!」くらいしか考えず、のほほんと会場に向かいました。開始数分前、眠気対策のコーヒーを一気飲みしたところで徳山教授からご指名、「コラムよろしく」。一気に眠気が覚めるのと同時に日頃の不勉強を憾みました。そして落ち込む間もなく気合いを充分に入れ講演に臨みました。
今回は「ラテックスアレルギー」という身近なテーマだったこともあり、医師だけでなくコメディカルの参加も多く見られ、関心の高さがうかがわれました。
講演の内容は
- ラテックスアレルギーの発見の歴史
1927年に最初の症例報告あり - アレルゲンに関する知識
ラテックス製品には200種類以上の様々な蛋白質が抽出され、現在までに14種類の主要アレルゲンが発見されている - 国内におけるラテックスアレルギー対策
1992年に厚労省が「手術用手袋等天然ゴム製医療器具によるアナフィラキシー反応について」として注意喚起を行った。 - 1996年ラテックスアレルギー研究会設立
同研究会が中心となり2006年と2009年にラテックスアレルギー安全対策ガイドラインが刊行された。 - ラテックス・フルーツ症候群について
ラテックスアレルギーとOAS(口腔アレルギー症候群)や花粉症との関連性 - 都立小児医療センターにおける対策
手術は全例ラテックスフリーの手袋を使用している。 - 注意喚起
ラテックスアレルギーに対する認識は徐々に高まってきているが、まだ対策が不十分である。
ラテックス含有の表示義務は医療用具に限られているが、医療器具に限らず日用品においてもラテックス製品は多数使用されており、アナフィラキシーの発生に注意が必要である。
基本的な事柄から応用まで、とても丁寧に説明され、解りやすい内容でした。症状出現時に、まずはラテックスアレルギーを疑うことが重要で、頻回の手術が感作の原因になってしまうこと、膀胱留置カテーテルや駆血帯など、普段何気なく使用しているものがアナフィラキシーを引き起こしてしまうこと、身の回りはゴム製品が多いことに改めて気付かされました。
知らない病気は診断することができませんし、診断がつけられないと治療することができません。今回の講演でラテックスアレルギーに対する知識を深められたのと同時に、怖さも再認識することができ、当院における啓発に繋がったと考えられました。 (文責:小児科 植田 穣)