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「花粉症の最前線」について、第29回埼玉医大アレルギーフォーラムが開催されました。

埼玉医科大学アレルギーセンターでは、定期的にアレルギーフォーラムを開催している。聴講対象はアレルギー専門医、一般医師、研修医、薬剤師、看護師、学生と幅広く、もちろん近隣の開業医や勤務医など、とにかくアレルギーに興味のある方ならどなたでもwelcomeである。今回は2月16日に埼玉医科大学の講堂で開催された。テーマは、そう、毎年この時期になるとすごーく悩んでいるあなたにはぴったり、「アレルギー性鼻炎の診断と治療」という内容で名古屋市立大学の鈴木元彦准教授にご講演をいただいた(座長 耳鼻咽喉科 加瀬康弘教授)。
鈴木先生は、体格も立派だが業績も非常に優れている新進気鋭の耳鼻咽喉科医である。様々な学会賞を受賞されているとのことだ。ご講演には美しいCG(制作に巨額の費用が投じられているそうだ)も供覧され、アレルギー性鼻炎の機序・治療法などについて分かりやすく解説していただいたので、どのレベルの聴講者も理解が深まったのではなかろうか。以下にその内容を簡単に抜粋する。

  1. アレルギー性鼻炎、スギ花粉症は近年増加傾向にある。現在ではアレルギー性鼻炎は2.5人に1人、スギ花粉症は4人に1人が罹患している。
  2. アレルギー性鼻炎の発症機序、特にアレルギー性鼻炎におけるヒスタミンの役割。肥満細胞から放出されたヒスタミンが知覚神経終末を刺激し鼻汁分泌、くしゃみ反射、さらには一部鼻閉にも関与する。
  3. ヒスタミンはアレルギー症状を引き起こすという面では悪玉だが、一方中枢(脳)では覚醒レベルに強く関与している。すなわち抗ヒスタミン薬を内服すると眠くなるのは血液脳関門を通過し中枢へ移行薬剤が、ヒスタミン受容体を阻害し、ヒスタミンの作用が阻害されるためである。(今日の私は脳のヒスタミンが足りん、ふぁー)。
  4. 眠くなる薬(主に第一世代の抗ヒスタミン薬)は、眠くなりにくい薬と比較して効き目が強いと考えている人がいるが正しくない。また、第一世代の抗ヒスタミン薬(最近開発された薬は第二世代とよばれ、副作用が軽減されている)は眠気が強くでるので、それを睡眠障害の治療に利用する方法を推奨する医師もいるが、その様な使用法は健康的な睡眠を妨げるので正しいとは言えない。
  5. 花粉症治療の基本は抗ヒスタミン薬を中心として、ロイコトリエン受容体拮抗薬やステロイド点鼻薬などを単独もしくは複数併用する。
  6. 鈴木先生の行っている基礎研究の内容:樹状細胞が発現するCD40をsiRNAを用いin vivo(マウス)で阻害することにより抗原特異的なアレルギー反応を抑制することができる。その機序として抗原特異的regulatory T細胞の増加やT細胞アナジーが寄与している(細かい内容は難しいので詳細は割愛、勉強したい人は鈴木先生の論文を読んでね)。
  7. アレルギーとは関係ないけど、鈴木先生が報告した内視鏡手術(modified endoscopic medial maxillectomy)について(専門的な内容なので詳細は割愛、ちなみに、耳鼻咽喉科専門医なら理解できる内容)。

さて、約1時間のご講演のあとは埼玉医科大学自慢のレストランフォンテーヌで2次会が催された。これを目当てに聴講した人もいると思うが、もちろんwelcomeである。
ちなみに、3次会は個人的に坂戸で催された。当日朝から非常に体調の悪かった私は、なぜか3次会途中から嘘のように快調になり、翌朝は絶好調になっていた。“なんとかは百薬の長”― 自分の患者さんにはすすめられないけどね。(文責 上條)

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