日本小児アレルギー学会が10月28日~10月30日まで福岡の国際会議場で開催されました。今回はアジア太平洋小児アレルギー呼吸器免疫学会(Asia Pacific Assosiation of Pediatric Allergy, Respirology and Immunology:APAPARI)と合同学術大会という形のため、会場内には韓国や台湾、シンガポールなどアジア各国からの参加者が多くみられました。両学会の合同シンポジウムという形で多くの企画が組まれておりました。非常に興味をそそられる内容が多く、可能であればすべての講演を聴講したいと思いました。外国からの招待講演の数も多く、昨年の「国際喘息学会日本・北アジア部会(Interasthma Japan/North Asia)」で講演のため来日し、当科の徳山教授の招聘で本学でも講演されたJan Lotvall教授を始め、食物アレルギーの分野で著明なSampson教授などが名を連ねておりました。本学関係では当科の徳山教授が、Joint Sympojium 3: Bronchial asthma Long-term Management で、韓国のPyun 先生と一緒にchairpersonを務められました。吸入ステロイド薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬、長時間作用性β2刺激薬、テオフィリンに加え抗IgE抗体など、長期管理薬の現状と今後の課題について各speaker が講演されました。フロアからも活発な質問が相次ぎ、抗喘息薬の今後の方向性について大変勉強になりました。
一方、日本小児アレルギー学会については、本学関連では当科の徳山教授が会長を務めるニューロペプタイド研究会による「こどもの咳嗽」に関するシンポジウムが大盛況でした。咳嗽のメカニズムから小児の咳嗽の呼吸生理検討、成人の咳嗽への対応といった科の垣根を越えた内容に討論も活発に交わされておりました。徳山教授はまた、シンポジウム9:小児アレルギー医に必要な境界領域の知識、の座長も務められるなど、APAPARIと併せ多忙な3日間だったようです。一般演題については、当科から、筆者と古賀健史助教、板野篤志助教がそれぞれポスター発表を行いました。筆者は乳幼児用JPACを用いた埼玉県内の乳幼児喘息患者のコントロール状況の実態を報告しました。古賀助教はmPIスコアを用いた入院患児の喘息状態の客観的評価についてのまとめと考察を、板野助教は当科における食物経口負荷試験症例をまとめ、in vitro の検査であるヒスタミン遊離試験の結果との相関についての評価に関して発表いたしました。
個人的に印象に残った講演としては京都大学大学院の新実彰男先生の気道リモデリングに関する講演でした。「咳の機械的刺激が気道リモデリングに関与する可能性がある」とのことであり、咳嗽の鑑別疾患を行い治療に臨むことの重要性を再認識しました。
天気はあいにくの曇りもしくは雨でしたが活気のある学会だったと思います。このような大きな学会は教育的な講演の項目数も多く、アトピー性皮膚炎など各種疾患の治療のポイントなどを再認識する良い機会になりました。ここで勉強し、得たものを今後の診療に生かせるよう心掛けていきたいと思います。 (文責:小児科 盛田英司)