2025年5月22日(木)に第78回アレルギーフォーラムが埼玉医科大学第3講堂にて開催されました。近年、アトピー性皮膚炎治療薬の進歩は目まぐるしく、抗体製剤やヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬など新薬が次々と登場しています。ステロイドとタクロリムスが大きな柱であった外用薬も、2020年以降新薬が登場し、2024年10月には芳香族炭化水素受容体(AhR)調節作用を有するタピナロフが登場しました。今回の特別講演は筑波大学医学医療系皮膚科教授の乃村俊史先生をお招きし、アトピー性皮膚炎の病態、タピナロフの作用機序、そしてタピナロフを今後どのように使用していくか私見を交えてご講演いただきました。病態において角層の重要性のお話は、参加されていました学生にも皮膚免疫の理解が深まった内容だったと思います。アトピー性皮膚炎の外用療法では、いかにステロイド外用量を減らし寛解を維持していくことができるかがポイントであり、その中で非ステロイド外用薬の1つであるタピナロフはいくつか注意すべき副作用がありますが、1日1回外用で有効性が得られ、患者さんの負担軽減にもつながることを教えていただきました。アトピー性皮膚炎治療において外用療法の重要性を再認識した機会となりました。素晴らしい御講演を賜りました乃村俊史先生へこの場をお借りして感謝を申し上げます。
ご講演いただきました乃村俊史先生
右から乃村俊史先生、筆者
(文責 皮膚科 宮野恭平)