2024年6月19日から21日の3日間、埼玉医科大学免疫学(大学病院感染症科・感染制御科兼担)戸叶美枝子が、日本感染症学会の推薦で第3回日本医学会連合Rising Starリトリートに参加させて頂きました。
本会は日本医学会の基礎部会に加盟している15学会と、臨床内科部会に加盟している学会の中から毎年異なる1学会(本年は日本感染症学会)の計16学会から推薦された若手研究者約50名が交流・情報交換する目的で開催されたclosedな研究会で、本年度は日本免疫学会が幹事でした。素晴らしい会を企画して頂いた先生方、推薦していただいた日本感染症学会の先生方に御礼申し上げます。
今回発表させていただいた演題は「ドーパミンおよびアデノシン受容体を介したシグナル伝達はCOVID-19のウィルスペプチド特異的なIL-8応答を調節する」で、当院のCOVID-19患者さんの検体を用いた、免疫学と感染症科の共同研究の内容です。1) SARS-CoV-2スパイク蛋白由来の15-merペプチドはHLA-DRによって提示される、2) COVID-19では抗原提示を受けたCD4陽性T細胞がIL-8を産生する、3) イストラデフィリンとロピニロールは、Th17細胞の分化と活性化を抑制し、 好中球性炎症を抑制することが我々の過去の研究で明らかになっているが、COVID-19におけるDICでも、有害な好中球性炎症を抑制することによる臨床応用が期待できる、という3点を明らかにしました。
臨床内科部会加盟学会からの参加は少数派でしたが、自分とは異なるバックグラウンドを持つ新進気鋭の優秀な先生方に囲まれて大変楽しい3日間を過ごすことができました。特別講演の竹田潔先生をはじめ、一流研究者による最先端の研究内容を拝聴することができ、大変貴重な経験となりました。発表時の活発なディスカッションにとどまらず、懇親会では夜中まで時間を忘れて意見交換を行うことができました。さらに、大沼国定公園の遊覧船、大沼国際セミナーハウスでのバーベキューなど、研究に関する議論をするだけでなく、大自然の中で学会の枠を超えた若手研究者と交流することができ、最高の「リトリート」でした。
参加するまでどのような会であるのか全く予想できず、また私自身、初期臨床研修を修了してすぐにコロナ渦となってしまいオンラインの学会を中心に経験してきたため、会場に到着するまでは不安と期待が入り交じった複雑な気持ちで大変緊張しておりました。しかし懇親会でたくさんの先生方とお話させていただくことができ、大変刺激的でした。今回交流させていただいた先生方と、共同研究をしたり、また何年後かにどこかでお会いできたりできましたら幸いです。
これから先、研究を続ける中で心が折れそうになることもあると思いますが、そんな時は今回の経験を思い出して頑張ろうと思いました。
(文責:医学部免疫学 戸叶美枝子)
大沼国定公園。天気に恵まれ、駒ヶ岳も綺麗に見えました。
ポスター会場の様子。口演も、発表が終わる度に毎回質問者の列が出来て活発なディスカッションでした。
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