お知らせとコラム

埼玉医科大学病院アレルギーセンター > お知らせとコラム > コラム > European Academy of Allergy and Clinical Immunology Congress 2019に参加して参りました。

European Academy of Allergy and Clinical Immunology Congress 2019に参加して参りました。

欧州アレルギー・臨床免疫学学会(European Academy of Allergy and Clinical Immunology Congress: EAACI Congress)が2019年06月01日から06月05日までリスボン (ポルトガル)で開催されました。当院アレルギーセンターからは小児科から私(古賀)・徳山教授が参加し、呼吸器内科からは中込准教授・片山助教が参加されました。

写真1

 私は「Surveillance of pollen-food allergy syndrome in elementary and junior high school children in northwest area of Saitama prefecture, Japan」というテーマでポスター発表をしました。当初は発表内容に関して2分間で聴衆にメッセージを伝えるというインフォメーションだったのですが、いざセッションが始まってみると座長の先生から発表4分、質疑応答4分、併せて8分の持ち時間でプレゼンテーションをお願いしますと言われました。私を含め同じセッションの演者の先生達は「そんなの聞いてないぞ!」と慌てる羽目になってしまいました。今回の筆者の発表は近年小児で増加傾向である花粉-食物アレルギー症候群(pollen-food allergy syndrome:PFAS)に関する疫学調査でした。当院周辺地域の公立小中学校の児童の保護者の方たち約3500名にご協力いただき、本邦ではまだ報告が少ない小児PFASに関するデータをPFASの本場であるヨーロッパで発表することができました。なんとか、つたない英語、しかも準備なしでのプレゼンテーションにもかかわらず、座長をはじめ様々な国の先生方が一生懸命聞いて下さり、貴重な質問や意見をいただき有意義な発表となりました。近年の学会はペーパーレスを目指しており、ポスター発表も以前は紙に印刷して会場に持ち込んでいましたが、今回はあらかじめデータでスライドを送り当日はモニターで映す形式でした。以前の、紙のポスターの時は広い会場にポスターがたくさん貼ってあり、その中を気兼ねなく周りながらじっくり見ることができました。一方、今回の形式では一つのモニターの中に多くの演題が収録されており、気になる演題を選択しモニターに映し出して閲覧する形式であったため、参加者が多い本学会ではゆっくり見ることができなかったのが少し残念でした。

写真2

写真3

 中込准教授は「Cadherin-related family member 3 upregulates the effector functions of eosinophils」というタイトルで口頭発表をされました。座長があらかじめ作成したスライドには埼玉医大の校章もありましたが、名前が「Nakuyuki Sakagome」になっており、日本人の名前は難しいのだということが理解できました。小児の重度な喘息発作に関係する蛋白であるCadherin-related family member 3(CDHR3)は、同じく喘息発作に関係するウィルスであるC型ライノウィルスの受容体であることがわかっていますが、今回の研究では、CDHR3が、こちらも喘息発作に関係するとされる、好酸球という白血球の機能を高めることを報告されました。

写真4

写真5

 学会会場の中ではかわいいキッチンカーでホットドックが販売されており昼食はそこでとりました。パンに細長く揚げられたポテトスナック菓子(湖池屋カラムーチョの辛くないバージョン)とソーセージをはさんだシンプルなものでしたが、パンは柔らかく甘くそこにカリッとしたポテトと肉汁が詰まったソーセージの組み合わせは絶品でした。来年のEAACIはLondonで行われる予定であり、また参加したいと思いながらホットドックをいただきました。

写真6

 リスボンは大西洋に面したヨーロッパの中で最も西にある都市です。丘の街であり街全体を一望できる古城もあり、細い道が何本も入り組みまるで迷路のような町中を黄色のかわいいケーブルカーが走っていました。日没が21時頃で夕食時でも明るく、日差しも強いため少し町中を歩くだけで日焼けしてしまいました。2日目の夜は呼吸器内科の先生方と海辺のレストランでイワシや干し鱈(バカリャウ)を使ったポルトガル料理を食べましたがどれも日本人好みで美味であり、日本食を恋しくなることはありませんでした。

写真7

直行便がなくヨーロッパの主要都市で乗り継ぎが必要であり20時間ほどの移動時間となりましたが、それだけ価値のある学会でした。留守番をしていただいた先生方ありがとうございました。
(文責:小児科 古賀健史)

トップへ戻る