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2023年4月30日 「喘息・COPDと気道疾患包括診療マニュアル」を出版いたしました

当アレルギーセンターは、アレルギー疾患の専門的な診療の提供、アレルギー病態の研究、さらにさまざまな場面での情報発信を活動の一部として推進いたしております。今回、中外医学社より、筆者を編著者とした「喘息・COPDと気道疾患包括診療マニュアル」という医療関係者向けの単行本を出版させていただきました。

長引く咳・痰や息切れなど、気道系の症状は最もありふれた臨床的な問題です。その多くはアレルギー機序によるものであり、喘息、咳喘息やアトピー咳嗽などが含まれます。本書はこれら気道症状の管理の向上に寄与する一冊として企画させていただきました。
気道系は、各種のアレルゲン、また喫煙などの有害物質、病原微生物、そのほかの環境汚染物質に常に曝露され影響を受けています。喘息はアレルギー体質が基盤に存在するので一時的には軽快しても結局患者が生涯にわたって苦しむこととなりえます。気道系疾患の多くでは生涯にわたる適切な管理が求められるのです。
気道症状があるときには複数の疾患が併存しえることも極めて重要です。よく知られるものは喘息と COPD の合併です。喘息の病因アレルゲンは室塵ダニです。ダニ感作例でアレルギー性鼻炎などは発症しているものの、臨床的に喘息を表現しないまま成人となると、喫煙習慣が形成されることは日常的にみられますし、実は下気道にもアレルギー性の炎症が形成されているため、喫煙の害が高度となりやすいのです。
アレルギー機序によるものを中心に、気道系疾患管理の重要な基本的ポイントとしてまず長期的予後の確保、患者の生涯にわたる健康の質的保持を考察した管理の必要性がありますし、患者さんの生活習慣あるいは背景因子にも配慮しつつ、全人的包括的な管理を行う視点が重要なのです。
本書は気道症状の診療シーンでしばしば遭遇する病態や問題を中心に、我が国のエキスパートの先生がたに御執筆をお願いし、最高の知識とノウハウをまとめさせていただいたものであります。本書が広く医療関係者等の皆さまにお役に立ち、そして患者さんのためにぜひお役立ていただきたいと願うものです。

(文責 永田 真)

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